30:名無しNIPPER[saga]
2018/07/11(水) 22:38:08.34 ID:TUAcnqRm0
季節は流れて肌寒い十二月が到来した。
この頃になると私は部屋に閉じこもり寝たきりな生活を送りがちだ。
家族も仕事やら学校やら多忙で家には私一人だけの時間が増えていく。
そういえば昔…このくらいの時期に私は何かやったわね…
それが何なのかよく思い出せない。
確か死んだお爺ちゃんを連れてどこかへお出かけしたのよ。
あの場所は…どこかの山の中だったわね…
何で私はあんな山の中にお爺ちゃんを連れて行ったのかしら?
そんな朧げな記憶に頭を悩ませていると部屋に誰かが訪ねてきた。
それは孫の次郎だ。見ると次郎は遠出の服装をしていた。
「…ばあちゃ……これか……いっしょに……やま……いこう。」
よく聞こえないけど次郎は私をどこかへ連れ出そうとしていた。
そうね、いいかもしれない。最近運動不足だし健康にいいかもしれない。
そう思った私は次郎の言う通りに従った。
電車を乗り継いで終着駅まで行くと人里離れた山奥までたどり着いた。
そこは粗末な神社がひとつだけ建つお世辞にも綺麗とは言えないなんとも錆び付いた場所。
どうして次郎はこんなところへ私を連れてきたのかしら。
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