八幡「やはり俺のロックバンドは間違っている」
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7: ◆HfOe.iXJMpHR[sage]
2018/07/09(月) 16:31:35.04 ID:HB4Sq7q+O
初めて会った女子と二人きりという気まずい空間にたじろいだ俺は持っていたギターケースのグリップを握り直す。

雪乃「…あなた、軽音部かなにかに所属しているの?」

八幡「え?いや。帰宅部だが…」

雪乃「なら何故ギターを持っているのかしら」

八幡「ああ…こいつは俺の相棒だからな。肌身離さず持ってるだけだ」

雪乃「そう…(相棒…?痛い人ね…)」

八幡「と、とにかく。俺はこの部活には入らな…」

言いかけたところで俺の目にあるものが映る。
最初入った時は椅子や机の山に埋もれて見えなかったがあれは…。

八幡(ギターアンプ!)

何故こんなところにアレがあるんだ…?

雪乃「あら、入らないと言うの?でもそれは無理よ。先ほど平塚先生に頼まれ…」

八幡「なあ雪ノ下」

雪乃「…人の話を遮らないでくれるかしら」

八幡「ああ…すまん」

雪乃「それで何かしら」

八幡「あれは…なんだ」

俺が指をさす。

雪乃「あれ?…ああ。ギターアンプとベースアンプね」

八幡「何故あんなものがこんなところにある」

雪乃「平塚先生が言うにはここは旧軽音部の機材置き場だったらしいのよ。それの機材がまだ置いてあるの」

八幡「なあ、ここに入ったらあれ自由に使ってもいいか?」

雪乃「え?…まあ構わないと思うけれど…」

八幡「入る」

雪乃「そんなあっさりと…」

先ほどまで「入らない」と突っぱねていた俺を雪ノ下が溜息を吐きながら睨んでくる。

俺は今まで誰ともバンドなんか組んでこなかったのでアンプででかい音を出したことがないのだ。
家に小さなアンプがあるが親や小町がうるさいというので中々使えない。

自由に使えるとあらばいくらでもこの部にはいってやる。
俺は意気揚々とギターアンプを引っ張り出し、コンセントにプラグを指してスイッチを入れた。
パチン
スイッチの音がして、電源ランプに赤い光が灯る。

八幡(こいつ…動くぞ!)

アンプを確認した俺はギターのハードケースを開け、中から相棒…Ibanez社の、PGM300を取り出した。

雪乃(へえ、PGM300ね…)

PGM300は俺が最も敬愛している、『光速』の異名を持つギタリスト、MR.BIGのリードギター、ポールギルバートが使用しているギターだ。
バズウッドボディに鮮やかなメイプル指板。白い塗装と相反する黒いFホールが死ぬほどかっこいい。

俺はバッグに入れていたシールドをアンプとギターにジャックインする。

雪乃「まさか今弾き始めるつもり?初めて会ったばかりの人間の前で?」

八幡「ああ」

雪乃「あの…いきなり大きな音は…」

八幡「…」ガチャガチャ

雪乃(聞いてない…)

雪乃(この人さっきの話によれば孤独で目立つことを避けるタイプの人なんじゃなかったかしら。拙い演奏で恥をかかないといいのだけれど…)

八幡 (よし、準備は整った)


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