74: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2018/07/07(土) 17:44:03.85 ID:LgMjPCNT0
「紗代子が、それだけ今の舞台に全力だったって勲章だな。……とはいえ」
プロデューサーはそう言ってタオルで涙を拭ってくれた。
彼は他の子達の涙も同じようにして拭い取ると、いつものように小さくパンと手を鳴らして。
「これで人前に出られる顔になった。じゃあ次は、全力でお客さんの声に応えて来なさい。
カーテンコールが終わるまでは舞台の幕が下ろせないぞ」
その言葉でみんな気づかされた。未だ鳴りやんでいない拍手の音と、
私たちの準備が終わるのを静かに待っていたリーダーの存在。
「……もう、みんな大丈夫かな?」
「は、はい! すぐに準備をして――」
「コトハってば、黙ってないで早く言ってヨー!」
五人で並び、その手を繋ぐ。
送り出してくれるプロデューサーの笑顔を霞ますほどのスマイルを浮かべ、
繰り返しみんなと一緒に見たい、最高の景色を前にして私は気持ちを昂らせる。
夢を途中で諦めたりしない限り、私たちは何度だって感動の瞬間を掴まえられるってことを信じながら。
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