2: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2018/07/07(土) 15:45:01.94 ID:LgMjPCNT0
自室の机で眺めてた、ノートパソコンの中で笑う少女。
けれど「きゃーっ、きゃっきゃっきゃっきゃっ」だとか
「ひぇー、ひぇっひぇっひぇっひぇっ」なんてわざとらしい演技はセットじゃない。
もしもそんな笑い声を彼女が上げていたのならば、
私はきっと耳にはめていたイヤホンを慌てて外したことだろう。
そうして、その必要がないほどに静まり返った舞台の上で、
彼女はただの一言も発さずに悠然と立っているのだった。
思わず、意識を飲み込まれてしまいそうになる微笑。
そんな少女の笑顔に端を発した不気味な静寂を打ち破ったのは、
共演している役者が小道具のシャベルを鳴らす音だ。
カツン、と床に当てられた切っ先が乾いた金属音を立てる。
それを合図に、まるで金縛りが解けたかのように息を吹き返す役者と観客席。
そして、画面越しに覗いていた私。
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