【シュタインズ・ゲート】岡部「このラボメンバッチを授ける!」真帆「え、いらない」
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446:名無しNIPPER[sage saga]
2018/07/24(火) 23:55:42.82 ID:kVyODNzX0
 顔を左右に振りながら、俺の言葉を否定する紅莉栖を見つめながら、思い知る。


 ──俺という男は、またもや、やらかすところだったか──


 先ほど紅莉栖が示した指摘。説明の中に、俺の主観がないという異議。それは正しかった。
 なぜなら、俺はあえて、説明の中に俺の想い──紅莉栖の言う、俺の主観を乗せようとはしなかったからだ。

 紅莉栖を生かしたいという想い。
 世界大戦の回避など、ただのオマケだったという想い。
 五十億人以上の命と紅莉栖一人の存在を天秤にかけ、紅莉栖の重さで五十億人が吹っ飛びそうな──そんな想い。

 そんな想いの全てを省いて、俺は紅莉栖に説明した。
 なぜ、そんなまどろっこしい事をしたのかだって? そんなの決まっている。

『そういうの、なんか恥ずかしいだろうが!』

 とどのつまりは、下らないプライドからくる羞恥心が原因であった。

 紅莉栖が問いかけてくるまでの、この数日間。
 それは、俺に紅莉栖との距離感を思い出させ、そして、あの吹き上がるような想いを伝える事に羞恥心を覚えさせるには、十分な時間だったのだ。

『鉄は熱いうちに打てとは、よく言ったものだな』

 俺はそんな事を想いながら、自らの愚策を反省する。

 天才の異名をほしいままにする牧瀬紅莉栖。
 そんな少女に対し、自らの主観抜きで、それでも論破されぬようにと、繰り返し脳内リハーサルを行ってきた自らの行動を、あざ笑う。一週間もの時間をそんなどうしようもない事に費やしてきた自分を、『アホか』と罵る。

 俺は一度、紅莉栖を拒絶してしまっている。だからこそ、同じ轍を踏むわけには行かない。もう二度と、わけの分からない独善性で、紅莉栖の想いを踏みにじるのだけは、避けたかった。

 だから──

『まだ、鉄は冷め切っていなはずだ』

 目の前の紅莉栖が、まだ熱を帯びている事を信じ──

「紅莉栖」

 名を呼び、紅莉栖の身体を、軽く抱き寄せた。

「!?」

 突然の事に、紅莉栖が驚きの声を上げる。メタルウーパが紅莉栖の手をすり抜けて、床を叩いた。

 俺は、ラボの隅へと転がっていく球状モニュメントを視線で追いながら、紅莉栖の耳元でささやく。



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