【シュタインズ・ゲート】岡部「このラボメンバッチを授ける!」真帆「え、いらない」
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402:名無しNIPPER[sage saga]
2018/07/22(日) 22:34:20.80 ID:+mU1ijAH0
 自信がなかった。一月前、ありがとうと言って、名前を呼んでくれた彼。

 その中に込められた、余りにも膨大な感謝の理由に気が付いてしまうと、今、私が抱えている想いが、とても薄っぺらに感じてしまった。

「ちゃんと……言いたい」

 つりあいたい。彼が向ける想いの重さに、出来る事なら吊り合ってあげたい。

 今の私に上書きされて消えた、いっぱいの私。聞かされて知った、彼女たちのために。今でも少しだけ残されている、微かな夢物語の欠片のために。

 ひと月前の彼の言葉に、つりあいたい。と、誰のためでもなくそう思ってしまうのは、ワガママなのだろうか。

「私って、こんな不器用だったっけ……」

 それはきっと、義務ではないのだろう。吊り合ってほしいなどと、一度も言われたためしがない。

 だからきっと彼は、そんな事を望んでなんて、いないだろう。だけどどうしても、そうできない事に歯がゆさを覚える。

「じゃなきゃ、私だけが受け取って、私だけが返すみたいで……何か嫌だ」

 きっと、沢山の私が踏み台になって、今の私がいる。それが悪い事だとは思わないけど、でもなぜだかそれは、とても寂しいことのように感じてしまう。

「ちょっと……寒いな」

 空を見上げれば、薄い空の色が瞳を覆う。三月も半ばに差し掛かったこの日。昨日、少しだけ舞った小さな雪景色の名残が、まだ屋上には残っていた。

「ほんと、寒いな」

 鉄柵から身体を離し、小さく身体を縮こまらせる。と──

「待たせたな」

 屋上の扉が開く音が聞こえ、そして彼の声が聞こえた。振り向き、そして私は目を丸くした。











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