【シュタインズ・ゲート】岡部「このラボメンバッチを授ける!」真帆「え、いらない」
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400:名無しNIPPER[sage saga]
2018/07/22(日) 22:26:47.06 ID:+mU1ijAH0
 渡すまでは、気にもしていなかった。なのに、照れ隠し全開でつっけんどんに突き出した私の手から、それを受け取った時の彼の言葉。

『ありがとう、紅莉栖』

 それは、普段の彼からは想像できない程、真っ直ぐに届けられた、お礼の言葉だったのだと、今さらながらに思う。

「ああ、余計なこと言った……」

 本当はとても嬉しかった、驚くほどに本音だった、素の返し。ちょっと素っ気無い言葉だったかもしれないけど、でも、静かに私を見つめる瞳と、いつもよりも少しだけ近く思えた距離感に、正直その時は舞い上がってしまった。

 だからつい、そんな気持ちを見せてしまうのが気恥ずかしくて、照れ隠しを予定よりも延長してしまった。

 真面目なフリとか気味が悪いだろと。真剣な顔なんて調子が狂うと。思ってもいない言葉を口にしながら、それでも強く胸を高鳴らせていた。

 そんな私に、彼はこう言った。

『別にフリではない。俺はいつだって、お前に感謝してきた。ずっと、な』

 普段のふざけた態度が、嘘のような振る舞い。とても深い色をした彼の眼差しに、私は舞い上がりながら、そして、ふと思ってしまった。

 今、彼が見ているのは、誰なんだろう?

 過去形で告げられた、彼の言葉。『ずっと』と添えられた、私にとっては奇妙な言い回し。そして感じてしまったのは──

『きっと、私だけじゃ……ない』

 そんな、ふんわりとした取り止めのない想いだった。

 あの夏を過ぎ、程なくした頃に聞かされた、不思議な話。終わりの見えない、延々と続いていたという、とても長い夏のお話。



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