【シュタインズ・ゲート】岡部「このラボメンバッチを授ける!」真帆「え、いらない」
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399:名無しNIPPER[sage saga]
2018/07/22(日) 22:23:52.47 ID:+mU1ijAH0
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 正直に言えばこの一ヶ月の間、抱え込んだややこしい心境に、私の心は揺れ続けていた。

「やっぱり、受け取っちゃうんだろうな、私は」

 呼び出されて足を運んだ、ラボの屋上。鉄柵に肘を付き、そよぐ風に髪先をなびかせていると、何だか無性に顔をうつむけたくなってしまう。

「私だけが……もらえるんだ」

 そんな事をつぶやくと、いまいちよく分からない罪悪感が幅をきかせてきて、ちょっと鬱陶しい。

 考えすぎだと言う事は、分かってた。気にする必要なんてないって事も、ちゃんと分かっていた。だがそれでも、理性とは裏腹な感情の揺れは、中々どうして収まってくれそうもない。

 一月前の2月14日。一人の男性に、生まれて初めて贈ったチョコレート。嫌と言うほど自覚している不器用な腕前で、湯煎だけにも手間取りながら形作った、褐色色の想いの形。

 そんな不細工な代物を、はにかみながら受け取ってくれた男性の顔を思い出すと、気恥ずかしさと共に、ちょっとだけ憂鬱な何かが込み上げてくる。

「あげない方が、よかったのかな」

 などと口にするも、しかしそれが本心でないことは、言うまでもなく──

「あんなの、気にすること無いのに……」

 そして続ける言葉は、この一ヶ月の間、繰り返し唱え続けてきた呪文と、何も変わっていなかった。

 迷いに迷って用意した、少しは大人っぽさを匂わせる包装紙。包んだ箱にフワリとしたリボンをかけた、思いを込めたはずの贈り物。



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