モバP「歌が聴こえる」
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4: ◆t6XRmXGL7/QM[sage saga]
2018/06/23(土) 12:09:06.22 ID:Rs9/yfEgO
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市原仁奈

遊んだ後のゆうがたの空は、すごくさびしくて、ひとりぼっちをこれでもかーっておしつけてくる。
友達とバイバイした後の帰り道は、どこまでも一人だけの時間。

家に帰っても、誰もいないのに。それでもになは帰らないといけない。

そのくらーい気持ちが、になを帰り道のアスファルトに釘付けにして、すこしも動かしてくれなかった。

一人はいやだ。一人はさびしい。だれかといつまでも一緒にいたい。
でも、それはもう叶わない。明日になるまで、になはずっとひとりぼっち。

帰りたい、帰らなきゃ、帰れない。
あんなに近くても、気がつけば、おうちがすごく遠く感じた

そんなときに、季節外れの虫のこえがきこえたような気がした。

虫のこえじゃないかもしれない。誰かの歌声。ららら、るるる。
確かにリズムを持った歌声は、になに「一人じゃないよ」と教えてくれるようだった。

だれかいるのでごぜーますか。そう尋ねても、歌は知らんぷりで、止まらないで歌い続けるばかりだった。

でも、歌はになに「一人じゃないよ」と教えてくれるように、そばに一緒にいてくれるようだった。

一人じゃない。明日になれば、またみんなにあえる。ママにも会える。

なみだを拭いて、になは自転車を押してまた歩き始めた

になも負けないぞと、らんらんらーと歌を歌ってみせた。
それはちょっぴりへたっちょだったかもしれないけれど。誰もいない、もう暗くなった帰り道に、らんらんと響いた。


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