4: ◆OtiAGlay2E
2018/06/17(日) 21:00:01.92 ID:WY8rOYY/0
すまない、話しが横にそれてしまったね。
成長して、それなりに名の売れた場所で修業を積んだ私は一国一城の主となった。それがこの店だ。
自分で言うのもあれだが、これでも有名なホテルやレストランの注文からオファーは来てたんだ。
5: ◆OtiAGlay2E
2018/06/17(日) 21:01:20.44 ID:WY8rOYY/0
店の経営が軌道に乗り始めてしばらくした頃に、私は人生の伴侶を得た。もう20年以上前のことだね。
軌道に乗ったといっても料理一本で生きてきた私の経営の才能は全然で、常に火の車だったが彼女にはかなり助けられた。いつでも献身的に私のことを支えてくれていた。
彼女に出会わなければこんな店とっくに潰れていただろうね。私が君と会うことはなかっただろう。もちろん君とあの子もね。
6: ◆OtiAGlay2E
2018/06/17(日) 21:02:03.10 ID:WY8rOYY/0
ロマンチックな話はここまでにしておこうか。
7: ◆OtiAGlay2E
2018/06/17(日) 21:03:50.22 ID:WY8rOYY/0
無事に生まれたあの子はすくすくと育っていった。元気な女の子だった。そして私と家内の両方をしっかりと受け継いだ子だった。
気が付けばいつの間にか店の手伝いをするようになっていてね、店の常連さんの間のアイドルになっていたよ。
8: ◆OtiAGlay2E
2018/06/17(日) 21:05:15.23 ID:WY8rOYY/0
ところであの子も昔から料理が得意というわけではなかったんだよ。
意外だって?
9: ◆OtiAGlay2E
2018/06/17(日) 21:06:36.11 ID:WY8rOYY/0
だから私はとっておきの秘訣を教えてあげた。
なにかって?
簡単なことさ。「料理は愛情なんだ。誰かのことを思って作った料理は必ずおいしくなる」ってね。
10: ◆OtiAGlay2E
2018/06/17(日) 21:08:12.94 ID:WY8rOYY/0
あの人は前もこれを頼んでいたからこの料理を気に入ってくれたのかな。
11: ◆OtiAGlay2E
2018/06/17(日) 21:10:07.11 ID:WY8rOYY/0
それからあの子はいっそう料理に夢中になって腕をどんどん上げていった。
それも私に負けないくらいの腕を。
12: ◆OtiAGlay2E
2018/06/17(日) 21:11:56.15 ID:WY8rOYY/0
「料理は愛情なんです」だったか。
確かあの子の歌にそんな歌詞があったね。
13: ◆OtiAGlay2E
2018/06/17(日) 21:13:27.39 ID:WY8rOYY/0
おっと、もうこんな時間か。
最後に一つ――。
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