5: ◆OtiAGlay2E
2018/06/17(日) 21:01:20.44 ID:WY8rOYY/0
店の経営が軌道に乗り始めてしばらくした頃に、私は人生の伴侶を得た。もう20年以上前のことだね。
軌道に乗ったといっても料理一本で生きてきた私の経営の才能は全然で、常に火の車だったが彼女にはかなり助けられた。いつでも献身的に私のことを支えてくれていた。
彼女に出会わなければこんな店とっくに潰れていただろうね。私が君と会うことはなかっただろう。もちろん君とあの子もね。
そう考えると運命とはなかなか面白いものだとは思わないかい?
私が家内と出会わなければあの子は生まれなかったし君と出会うこともなかった。
私が料理の道に進まなければ家内と出会うことはなかった。
私が子どものときに鍋を振るっていなければこの道に進むことはなかった。
君もいっしょだ。君の歯車が何か一つ掛け違えていたらきみは今この場所にいなかっただろうね。ここにいるのは別の人か、あるいは誰もいないか……。
いろいろな歯車が絡まりあって今がある。何か一つでもくるっていたら。今この瞬間は存在していないだろう。それが運命ということだろうね。
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