4: ◆a/VLka4bp3Eo
2018/06/16(土) 13:50:17.09 ID:NSDqj0DG0
「……ふっ……んっ……はぁっ……あ、このみさん……お疲れ様です……」
あれか。週末の夜、デスクに上着。テンションMAXでしょうとでもいうつもりか。
さすがにない。それはない。
しかも明らかにこっちの存在に気付いているのになぜ彼の上着の匂いをかぐのをやめないのか。
劇場の外でやたらと怯える人見知りの姿勢はどこにいったのか―――。
呆れて物も言えないが、とりあえず一分ほど茫然とした後。見て見ぬふりをして仮眠室に向かったはいいものの、なぜか可憐はついてきた。
ちなみに驚くべきことに、ちゃんと上着は椅子に戻していた。
曰く。
「その……プロデューサーさんの匂いが薄くなった気がするんです……」
そりゃあんだけ吸えばそうなるでしょう、と言いかけたがやめた。
とりあえずお前は何を言っているのか。
上着じゃ満足できないから直接吸う気か。
お前舞台にあがる度にご褒美と称して抱きしめられてあんなスハスハしてまだ足りないのか。特別扱いにも程がある。
これがスカウト組筆頭、たとえアイドルにならなくても口説かれたであろう女の実力なのか。つーかプロデューサーはいつか〆る。
胸と尻ばっか視姦してんじゃねえ。可憐ちゃんは可憐ちゃんでまんざらじゃなさそうだし。
近くに千早ちゃんや静香ちゃんがいると気温は下がるし。
「何か、プロデューサーさんの身に起こったんじゃないかと……ごめんなさい」
ああ、そういうこと、とやっと合点がいった。
要は上着についた匂いの話ではなかったのだ。
おそらく、彼女は上着の匂いとは別に、劇場内にいるプロデューサーの匂いを感じ取っていたのだ。
それが薄くなったから、彼の身に何か起こったと心配してると。なるほど。
いい加減頭おかしくなりそう。
とはいえ、そこまで深刻なことはないんじゃない、とこのみは後輩に言ったのだ。
何せ、「あの」天海春香と田中琴葉が今ちょうど彼と一緒の部屋にいるはずなのだ。
何かあったら大騒ぎになっているはず。
「そうだと、いいんですけど……」
いつものようにおどおどしていて安心すると言ったら流石に可哀そうかな、と思いつつ。
いややっぱそんなことないか、と鼻を今もひくひくと動かしている可憐を半眼で見たりもしつつ、また通路を行く。
そしてまたおかしな光景に遭遇した。
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