1:名無しNIPPER[saga]
2018/06/15(金) 00:06:06.16 ID:1KrY7Zfp0
「ねえ。夏紀はさ、これまで吹部を辞めたいって本気で思ったこと、あったりする?」
「……なにそれ、どういうこと?」
二年生の夏。あがた祭りの名物でもある神輿担ぎが始まるまでのあいだ、見慣れた街並みの家々の灯りが消えた頃、
暗闇がすっぽりと街を覆いつくした時間の中で、私はどこか感傷的な気分に浸っていた。
不機嫌そうに口を尖らせる夏紀を無視して、私は言葉を続ける。
「私はさ、結構あったよ。何度も思った、こんな部活続けてても意味ないって。ぜったい辞めてやるって。たぶん、本気で考えてた」
その気持ちは、南中で吹奏楽をやっていたときの私なのか、それとも北宇治で“あんな”連中に心の底から嫌気がさしていたときの私なのか、それは今の自分にも分からなかった。
だけど、その時の感情はきっと、本物で。私はそれを否定する気など、ひとつもなかった。
SSWiki : ss.vip2ch.com
15Res/13.84 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20