琴葉「プリンセスのPはプロデューサーのP」
1- 20
3: ◆a/VLka4bp3Eo
2018/06/10(日) 23:51:34.04 ID:ci7A34oE0
そう言った瞬間、目の前にいた少女の目の色が変わった。
大正義、女神、アイドルの鑑、決して幸福になれない女、あの人のおかげでアイドルになりました、などなど。
評する数多の言葉通り、女神のような笑顔を浮かべていたミス・天海。
リボンと笑顔とドジだけが……ではない、美も瑕も備えた完壁な偶像。
弓なりになった目が見開かれたのは覚えてる。
あっやばいこれやっちゃった、そんなことを思って慌てて、

「……なんちゃって」

と付け加えたが時は遅し。
優しき大先輩の顔から笑顔は消えていた。

『春香が真顔になっても怖くないんだよなあ。ほら、どんな表情でも愛嬌があるというか』

そんな風に呑気に宣っていた想い人はやっぱり節穴だった。
いや気づいてはいましたけど。あの鈍感め。
なにはともあれその真顔には愛嬌なんて欠片も存在しねえ。
ほら、あれだ。感情が読み取れない。瑞樹ちゃん?そんな可愛いもんじゃない。
どっちかっていうと、可憐ちゃんや貴音ちゃんと笑顔で話してるプロデューサーさんを眺めてる時の千早ちゃんや静香ちゃん。
というか殺されるんじゃないかしら、これ。
カチューシャを剥がされて土下座要求されても已む無し。そんな雰囲気の中、真顔が動いた。

「もう、琴葉ちゃん。だめだよその言葉は気軽に口にしちゃ」

くすっとわざとらしく声までだして作った笑み。
絶対その顔プロデューサーさんの前ではしませんよねこの女狐、とは絶対言わせない眼力がそこにはある。

「それとも私が『プリンセス』だってしってたのかな」

笑みが深くなる。正直怖い。というかなんでしょうこれ。
春香ちゃん―――天海春香は一応年齢はほぼ同じというか私より年下なはずなのだけれど、たまにあっこれ敵わないなあというかカエルから見たヘビみたいな顔をする時がある。
そんなことが起こる度にアイドルってすごいなあと感心したりするのだが、今はそんな余裕はない。
うわあニヒル。どこの大幹部かな?

「流石は琴葉ちゃんだね……」

いやいや。何が流石なのか。
お前何言ってんだ、と委員長キャラも忘れて言い出したくなったが一応我慢。
これはあれ。きっとノリにのっている。自分に酔っている。
演劇をやっている自分にはわかる、後で顧みると超はずい状態。
そんな時に野暮をさすと、馬にひかれて地獄に落ちかねない。
でもこれどういう状況、私どうしたらいいんだろう。
と思ってたら、ポン、と携帯が鳴った。

「集会の日時と場所は送ったから。周囲に誰もいなくてよかったね」

そしてまたふっと苦笑いする。
今度は殺し屋にでも転向したのだろうか。
あと集会って何のことなのだろう。というか周りに誰もいないとかよくわかったね?
それを聞く間もなく春香ちゃんはたちあがる。

「それとも、それも計算ずくだった?」

だから何が?


<<前のレス[*]次のレス[#]>>
23Res/19.86 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 書[5] 板[3] 1-[1] l20




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice