1: ◆CR8fnXmxUyll[sage saga]
2018/06/10(日) 09:05:52.81 ID:HTbli2lqO
ある晴れた日のこと。
海外への遠征が決まった。キミはそう言った。
なんと三週間後にはNYに行くことになっているらしい。
SSWiki : ss.vip2ch.com
2:名無しNIPPER[sage]
2018/06/10(日) 09:45:04.65 ID:7/Eh+CufO
柚「狩らせてもらうよ。キサマのぴにゃンバーズ!」
ex14.vip2ch.com
3: ◆CR8fnXmxUyll[sage saga]
2018/06/10(日) 12:43:38.35 ID:B7zfLrAUo
◇
4: ◆CR8fnXmxUyll[sage saga]
2018/06/10(日) 12:45:44.27 ID:B7zfLrAUo
『世間では一ノ瀬志希とShiki Ichinoseについての認識が随分と違っている。』
そんな話題で盛り上がってから数日ほどしか経っていない気がする。
「ティンときた」のだろうか?ここ数日いい匂いがしていると思ったらそういうことだったのか。
こうなった時のキミは行動が早い。そして大胆不敵だ。
前からそういう傾向があったらしいがより顕著になっているとのこと。
5: ◆CR8fnXmxUyll[sage saga]
2018/06/10(日) 12:48:01.58 ID:B7zfLrAUo
渡された資料を見る。
企画名:未定
ロケ地は何処かで見たことがある化学プラントだった。
6: ◆CR8fnXmxUyll[sage saga]
2018/06/10(日) 12:50:33.37 ID:B7zfLrAUo
思わずキミの顔を見る。
悪戯に成功した子供みたいな目をしている。少し癪に障る。
あたしがキョーミを示さずに失踪するとか考えなかったのだろうか?
いつか落とし前として実験台になってもらおう。
7: ◆CR8fnXmxUyll[sage saga]
2018/06/10(日) 12:52:46.64 ID:B7zfLrAUo
更に資料を読み進める。
プラントでこんな撮影をして問題ないのかと囁く声が聞こえる。
―――海の向こうのあたしは早熟な科学者だ。未だに叡智の扉の向こう側にある命を救う一滴を此方に持ってこられる存在。金の卵を産む雌鶏といった認識だろう。
資料も残りわずかというところまで読み進めた。
8: ◆CR8fnXmxUyll[sage saga]
2018/06/10(日) 12:53:33.81 ID:B7zfLrAUo
―――そして、そんなヒトたちがアイドルであるあたしの魅力にヤラレテしまったその瞬間、果たしてどんな表情を浮かべるのだろうか!
9: ◆CR8fnXmxUyll[sage saga]
2018/06/10(日) 12:54:11.54 ID:B7zfLrAUo
◇
10: ◆CR8fnXmxUyll[sage saga]
2018/06/10(日) 12:55:22.19 ID:B7zfLrAUo
「企画名、何かいいもの思いついた?」
そう尋ねてキミの眼を見る。
好奇心に輝くあたしの眼が映っているキミの瞳。
理性という分厚い覆いの向こう側から見え隠れする本能の光。
微かに見えるだけなのに心をかき乱される強い光。
11: ◆CR8fnXmxUyll[sage saga]
2018/06/10(日) 12:56:47.33 ID:B7zfLrAUo
―――キミは隠し通せていると思っているかもしれないが、あたしの前には丸裸も同然だ。
その種の感情との付き合い方はあたしの方が何枚も上手なのだから。
12: ◆CR8fnXmxUyll[sage saga]
2018/06/10(日) 13:01:53.31 ID:B7zfLrAUo
「困ったことにまだ思いついてないんだ。」
キミが応える。
―――キミが今現在の一ノ瀬志希から導き出した仮説を検証したい。
13: ◆CR8fnXmxUyll[sage saga]
2018/06/10(日) 13:02:49.89 ID:B7zfLrAUo
「全然困ってる顔に見えないなー。目が笑っているよ?」
―――望むところだ。
14: ◆CR8fnXmxUyll[sage saga]
2018/06/10(日) 13:07:08.83 ID:B7zfLrAUo
「あっ、志希ちゃん良い名前思いついた! これなんてどうかな?」
―――神とやらが下さった賜物 (ギフト)、その総てを以てこの実験を成功させよう。
何かが起こればそれを元手に更に良い結果に繋げてみせよう。
15: ◆CR8fnXmxUyll[sage saga]
2018/06/10(日) 13:08:25.33 ID:B7zfLrAUo
「アイロニカル エトランゼ」
16: ◆CR8fnXmxUyll[sage saga]
2018/06/10(日) 13:09:02.09 ID:B7zfLrAUo
◇
17: ◆CR8fnXmxUyll[sage saga]
2018/06/10(日) 13:09:49.27 ID:B7zfLrAUo
キミの瞳孔が開くのがよく見える。
こんな間近で「ティンときた」瞬間を見たのは初めてかもしれない。
18: ◆CR8fnXmxUyll[sage saga]
2018/06/10(日) 13:10:51.30 ID:B7zfLrAUo
「あの国であたしはギフテッドとして教育を受け、心赴くままに実験をして生きていた。」
元々、こういう時のキミはイイ性格をしていた。
好き好んであたしみたいな難物をプロデュースするような人だから当然かもしれない。
それにしても更に磨きがかかったなと思う。
19: ◆CR8fnXmxUyll[sage saga]
2018/06/10(日) 13:12:28.48 ID:B7zfLrAUo
「その対価として、人類の英知を少し先取りして社会に還元していた。」
本気で物事に打ち込む人が好き。そういう人は大抵良い匂いがする。
その中でも自分の内から湧き上がる想いに身を焦がすタイプは刺激的な匂いがする。
そんな人の心が剥き出しになるとき、その瞬間に放たれる香りには中毒性がある。
20: ◆CR8fnXmxUyll[sage saga]
2018/06/10(日) 13:13:18.74 ID:B7zfLrAUo
「キミが調べたとおり、この化学プラントはそういうところ。」
理性をも焼き尽くしてしまいそうな昂ぶりを生じさせる危険な香り。まさに劇薬だ。
21: ◆CR8fnXmxUyll[sage saga]
2018/06/10(日) 13:14:11.86 ID:B7zfLrAUo
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