37: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2018/06/15(金) 20:02:14.76 ID:bVnO2WFP0
「別にデレデレなんかしてませんよ。ただ待ち合わせ相手を探してることを伝えようとしてただけで」
「探していただなんて。入ってすぐ、私達目が合ったじゃありませんか」
「……そんなことありましたっけ?」とプロデューサーさんは目を逸らします。
本当に子供みたいな人。
どうしてこんなに分かりやすい誤魔化し方を選ぶのかしら。
「とぼける必要、無いですよね」
そんな情けない彼は、私が語気を強めて問い詰めると。
「……仕方がないじゃありませんか。丸っきり印象が違ってたから」
「髪を下ろしてるだけですけど」
「それだけでも別人に見えるものなんです。
特に、歌織さんみたく普段がかっちりしてる人の場合――」
言いかけた言葉を慌てた様子で引っ込める。
私は許しませんと視線でその口をこじ開ける。
結局、勘弁して欲しいと泣き出しそうになった彼は。
「下ろしただけでおさな――若く見えるんですよ。それに印象だって柔らかくなって。
も、もちろん普段の歌織さんも、十分優しいイメージのある人ではありますけど」
なら、どうして今のアナタはそんなにも怯えた顔で私を見るんですか。
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