九頭竜八一「風呂から上がったら、揉んでやる」夜叉神天衣「……えっ?」
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7:名無しNIPPER[sage]
2018/06/08(金) 00:52:07.31 ID:PCyqDion0
天衣「ふふっ。どう? 以前の私とはひと味もふた味も違うとわかったかしら?」

序盤の駒組みで天衣は手ごたえを感じていた。
自陣の厚さ、そして敵陣の薄さ。
それでいて急戦を挑んでくる気配もない。
天衣は以前、八一に言われたことを覚えている。

自分の持ち味は、重厚な受け将棋である、と。

故に、序盤はとにかく固める。
安易に穴熊を組まないのは、柔軟な受けの為。
ある程度玉の動けるスペースを確保していた。
それでいて、隙がない構え。完璧である。

天衣「ほら、かかって来なさいな! さっきまでの威勢はどうしたの?」

盤外での挑発も欠かさない。
相手の攻めを促し、受けきる。
それによって補充した金駒で勝ちを掴み取る。
これが天衣の勝利の方程式だった。

しかし、目の前の男は、凡人ではなかった。

八一「……こんなもんか」

ため息混じりに、ぽつりと八一が呟く。
そこに失望の色を感じ取り、天衣が声を荒げるその前に、パチンと、駒が置かれた。

天衣「ッ……!」

一瞬、目を疑った。
それは一見、無意味に思える一手。
しかし読めば読むほど、妙手。

俗に言う『焦点の歩』と呼ばれるものだった。

天衣「そんな、こんな筈は……!」

玉が動けるようにスペースを作ったのが仇となった。そこを突かれ、守りのどの駒を動かしても不利になる。一滴の毒薬が垂らされたのだ。

八一「受け将棋はお前の十八番なんだろ?」

天衣「くっ……!」

たった、一手。
されど、一手。
それで戦況は大きく傾く。
一気に終盤へと推移していく。

この対局に、中盤は存在しなかった。


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