9: ◆Xz5sQ/W/66[sage saga]
2018/06/07(木) 19:44:19.61 ID:ODZrmv780
「んっ」
ゆっくりと、遠慮がちに、それでも実に図々しく、
腿の上に掛けられていく重量を感じ取ったのか、志保がぴくりとその身を震わせた。
何てことの無いスカート生地がまるで高級シーツのように触れてる肌へと吸い付いて、
乗せている頬を滑らかな感触で惑わせる。他人の匂い、洗剤の匂い、後ろ髪にも何かが当たる。
痛いほどに澄まされた耳が捉えた少々荒っぽいそのリズムは、
彼女の呼吸で伸縮する腹部が押しやる感触だ。
自分の頭のすぐ後ろに、無防備な腹があるという現実は生々しい。
俺はやり場の無い両手をしっかと組むと、視線は先ほどまで座っていたデスクの方へと固定して、
とにかく"何も考えないこと"について全神経を集中させて黙考する。
精神統一、煩悩退散、沈思黙考というヤツだ――あ、いやいや最後のは嘘、これはダメ、それはダメだっ!
「プロデューサーさん」
「あ、ああ」
「寝心地、悪くありませんか?」
そう尋ねる志保の声というのも、緊張のせいか僅かに震えていた。
そりゃそうだろう。膝枕に慣れている中学生なんているものかよ。
……なんてことをチラリとでも考えてしまうと余計に背徳感が募っていく。
触れているのが頭だけとはいえ、その熱は脳みそへと直に伝わるのか、
他人の持つ温もりが全身を包むような錯覚を感じて興奮を覚えるのも事実。
俺は奇妙に唇を震わせて。
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