43:名無しNIPPER[saga]
2018/06/10(日) 19:04:18.52 ID:UsdkgY1f0
《橘ありす「それは考えてみれば当然で、必然で。だけれど私の障害足りえません」》
◇
子供だからだ。
子供の言うことだ。
子供のすることだ。
そんな言葉が嫌い。嫌いだ。大嫌いでした。
「『あぁ、これが小学校に赴任してきたちょっと人気のある若い信任教師の気分かぁ』……なんて。当時はいつかありすが大人になったときにこの話を話してイジってやろうかな、なんてさ」
「…………は?」
だからこそ、私の頭が一瞬フリーズしたのは当然で、必然で。
だけれど、問題なのは、大人になった今の私にはプロデューサーの理屈も理解出来てしまうことでした。
もう少しだけ、私が幼ければ、喚き散らしたかもしれないですけど。
……今は、そうじゃない。
「子供相手とはいえ、なかなかどうして、俺も捨てたものでもないんじゃないか、って気になったもんだよ。はは」
ビールの缶を握って、プロデューサーがアルコールが回っているのか、ぎこちない笑みを浮かべている。
「……………………へぇ」
こちとら、子供のころからいつだって真剣なのです。
大事なもの、抱え込んだなかで、一番大切なもの。
それが零れ落ちたなら。
何度だって手を伸ばして拾い上げればいいだけの簡単な話でした。
そして―――なによりも。
“ただの橘ありす”を縛るものなんて、ただのひとつもありはしないのですから。
「プロデューサー」
私は持っていた紙コップをテーブルに置いて、テーブルの反対側に座るプロデューサーの元へと歩きだした。
「私は――」
ですから、おとなしくあきらめて――。
「私は昔も今もあなたのことが大好きです」
「へっ? あぁ、もちろん俺も―――」
「勿論、男性として好きって意味で言ってます」
「…………へ? ……えっ?」
――私のものになってください。
腰掛けたままのプロデューサーの肩に私は片手づづ乗せる。
動揺に彷徨うプロデューサーの瞳を私はまっすぐに見つめる。
そして、羞恥心を捻じ伏せるように。
私は勢いよく、彼の唇に口付けた。
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