雨が降ればいいのに
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3:名無しNIPPER[saga]
2018/06/04(月) 22:34:59.45 ID:zAvML4irO
その言葉の真意を聞けるほどの勇気は俺にはなかった。
ただ、ロクに会話もできなかった前回で呆れられることなく、再び会うことができたということが嬉しくてたまらなかった。
この出会いを運命と呼んでいいのであれば、俺はなんと幸運な星の下に生まれてきたんだろう。
「藤くんは、部活帰りですか?」
「あ、いえ、今日は雨でお休みでした。悠里さんは何かやってるんですか?」
「いえ、今は帰宅部です」
誰とでも話せるような会話でも、世界が色づいて感じられた。
二回目に会って以降も、雨が降る度にどちらともなく、そこで落ち合うようになった。俺たちはお互いのことを少しずつ知るようになり、しかし踏み込み過ぎない関係を保ってきた。
俺は彼女の学校を知らなければ、連絡先も知らない。彼女が人参嫌いっていう子供っぽい面があることを知っていても、彼女が学校でどんな友人がいるかを知らない。
ただ、二人だけの秘密基地ができたような気がして、それだけで幸せだった。
学校で彼女がいるやつを見ても、学年のヒロインと言われる女子を見ても、「悠里さんには敵わないな」と、俺の彼女でもないのに優越感に浸っていた。


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