雨が降ればいいのに
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2:名無しNIPPER[saga]
2018/06/04(月) 22:33:24.01 ID:zAvML4irO
二回目は故意だった。
最初の日から数日が経ち、今度は雨降りで部活が中止になった日のことだった。
以前より早い時間、それに朝から雨の日だ。まさか彼女はいるまいという気持ちと、いてほしいという気持ちが入り乱れていた。
それを例えるなら、ファンタジーに憧れる子どもの気持ちというか。
彼女と知り合ったシチュエーションが、漫画の世界の出来事のような気がして、浮かれていたのかもしれない。現実に魔法使いも天使も悪魔も神様もいなくても、どこかで自分が主人公になれる物語を探していた。こういうのを厨二病って言うのかな。
果たしてそこに、彼女はいた。もう夏も近いというのに、今度は上着にジャージを纏っていた。
「偶然、ですか?」
そう微笑みかけられて、俺は彼女の容姿がとても恵まれていることに今更気がついた。前回は目を逸らしちゃってたからね。
黒く伸びた髪は彼女に大人っぽさをより際立たせているし、一方で目鼻立ちは人形のようにハッキリとしていて、それなのに主張しすぎず絶妙なバランスで配置されている。
「偶然……じゃ、ないです」
そう言ってしまったのは、口説こうとか告白とかではなくて、嘘をつくことができなかったからだ。
だって、こんなに可愛い子に微笑みかけられることなんてなかったんだよ、今まで。そりゃ、緊張だってするし惚けて正直者にもなるさ。
「私も、偶然じゃないです」


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