4:名無しNIPPER[saga]
2018/06/04(月) 22:36:14.09 ID:zAvML4irO
出会ってから一ヶ月ほどで、彼女は私服で神社に来るようになった。
梅雨も明けてしまい、毎日のように会っていた悠里さんとも週一回、会うか会わないかくらいになった頃だ。ちょうど夏休みの始まる時期だったし、学校もないのにわざわざ出てきてくれているんだろうか。
曰く、「藤くんと会うためにおめかししてるんだよ」とのこと。そんなことを彼女に言われて喜ばない男はいないだろう。
毎度毎度ジャージ姿なのが恥ずかしくなったけど、私服を着た方が彼女の美貌との釣り合わなさを痛感させられそうな気がして、俺は部活で揃えたジャージを着続けた。
その期間の話も特別面白いことはない、今日の部活はこうだった、だとか、悠里さんは夏休みに特に予定はない、だとか。
「花火大会、行きませんか?」
その一言は、俺の中では最大限に勇気を振り絞った言葉だった。
彼氏がいるからごめんね、と言われたらそこで諦めるつもりだった。彼女ほど綺麗な人ならば、きっと相応に相応しい彼氏がいるだろう。
半ば諦めの気持ちも込めて、一歩踏み出してみた。夏という季節と、馬鹿みたいに照りつける太陽のせいかもしれない。
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