勇者「滅びた後の世界で」
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3:名無しNIPPER[saga]
2018/06/03(日) 22:06:27.31 ID:IMIN4WEW0
さて、この乳はどこを水源としているのか。探ってみよう。
ハゲは立ち上がると、大河に沿って北へ北へと進んでいった。
そもそも、北という概念すら、この世界にはない。河の流れに逆らって歩く。それだけだ。

またしばらく歩くと、ハゲは巨岩の前に辿り着いた。
岩の頂上が割れて、噴水のように乳が噴き出している。

岩乳(ガンニュウ)

たぶん、そう呼ばれているのだろう。乳と蜜を噴き出す岩など、生まれて初めて目にした光景だ。
しかし、これが普通なのだ。普通でなくてはならないのだ。どうしたものか。

ハゲは座り込み、青ざめはじめた空を仰いだ。鳥も、虫もいない。無機質な空間にたった独り。
世界は滅びたのだろうか。ふと乳の河に目をやると、碧色に輝く透き通った魚が泳いでいた。
わし掴み、齧ってみる。

パキッと小枝の折れるような音。甘い。なんなのだこれは。飴のようではないか。
ほんのり、メロンの香りがする。メロン魚。メロン魚が泳ぐ岩乳の河。
そして河底に漂うハチミツを合わせれば、鬼に金棒である。

ふふ、まったく良い場所を見つけたものだ。
俺は絶対に、ここから動かない。動いてなるものか。
やっと見つけた安住の地。約束の地なのだから。


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