17:名無しNIPPER[saga]
2018/06/16(土) 00:09:31.69 ID:QsGf/s/A0
イルカの背に跨った瞬間、ダークマターが形を変えた。
ハゲを中に取り残したまま、先端の鋭く尖った円錐形に戻る。
底部から噴き出す、黄金色の炎。
ハゲ「ヌッ!」
考えるよりも先に結晶体が動き出した。
派手な音を立て、海の中に沈んでゆく。
その速度、秒速3457兆km。
あらゆる惑星を破壊しながら突き進む。
見える。光が。大きくなる。
そうか、あれが海面か。
私は、戻ってきたのだ。
恐ろしくも、心休まる土地。
乳と蜜の流れる、安寧の地。
上昇していたはずの身体が、急に下降を始めた。
海から飛び出したのだ。
全裸のまま大の字で落ちてゆくハゲ。
遠目から見れば、隕石と思えたことだろう。
しかし、それは隕石でなくハゲであった。
ハゲ「おお、乳を噴き出す建造物ではないか」
釣り針のように曲がった砂嘴。
そうだ、あの場所から飛ばされたのだ。
ハゲ「む、あれは……」
黄金色の原野と白い乳で満たされた世界。
その中で、ひとつだけ飛びぬけて高い塔があった。
外壁を蔦で覆われた、円柱状の塔である。
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