【モバマスSS】愛を知らない一ノ瀬志希と彼らの巡礼の旅
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◆TDtVvkz8pSL3
[saga sage]
2018/05/30(水) 01:40:00.49 ID:dFhLHRCO0
「はい……志希さんは、自分探しをしているのでしょう」
「自分探しぃ?」
思わず素っ頓狂な声が出るくらいには、想定外の答えだったと言うべきだろう。
以下略
AAS
23
:
◆TDtVvkz8pSL3
[saga sage]
2018/05/30(水) 01:40:49.65 ID:dFhLHRCO0
「はい。これもまた推論となってしまいますが……志希さんにとって過去は、興味の対象足り得ないのだと、彼女の口から聞かされたことがあります。現在の自分は変化し続けており、過去に執着するだけではつまらない、と……つまり志希さんは、とりわけアイドルになる前の過去を、最小限の記録に変換して、記憶から消し去ってしまっているのではないでしょうか。そして今回は、その不要として削除した物を、改めて省みる必要があった」
「……すまない、もう少し分かりやすく言ってくれないかな」
「そうですね……もう要らないと捨ててきてしまった物の中に、今必要なものがあるかもしれないと、志希さんはそう思い至ったのではないかと、私は思うのです」
以下略
AAS
24
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◆TDtVvkz8pSL3
[saga sgae]
2018/05/30(水) 01:41:35.14 ID:dFhLHRCO0
「お待ちください」
「ダメなのか?」
「もし志希さんが岩手から……ご自身の誕生から辿っていた場合、今からプロデューサーさんが向かったところで追いつくことはできません。そして、態々失踪をする時に、敢えて事務所の近くに留まるとは考えにくいですので……逆にプロデューサーさんが現在から遡れば、何処かで交差するのではないでしょうか?」
以下略
AAS
25
:
◆TDtVvkz8pSL3
[saga sage]
2018/05/30(水) 01:42:24.49 ID:dFhLHRCO0
俺は鷺沢に礼を言い、席を立って即座に外出の支度をし始めた。
とりあえず、ちひろさんに『志希を探してきます』とでも送っておけば俺まで失踪したなどとは思われずに済むだろう。
そんな風にテキパキと作業している俺に、ソファーに座ったままだった鷺沢が声をかけた。
「そういえば……フレデリカさんが、『プロデューサーはもう少し親しみやすくしてくれると楽しいのにな』と仰っていましたよ」
以下略
AAS
26
:
◆TDtVvkz8pSL3
[saga sage]
2018/05/30(水) 01:43:12.54 ID:dFhLHRCO0
主の出て行った部屋の中で、私は一人、何をするでもなくソファーに腰掛けていました。
全てが解決した折には、彼には一つ謝らなければなりません。
以下略
AAS
27
:
◆TDtVvkz8pSL3
[saga sage]
2018/05/30(水) 01:44:12.28 ID:dFhLHRCO0
くしゅん。
あらら、誰かアタシのこと噂してるのかな?そりゃしてるか、だって失踪中だもんね。
文香ちゃん辺りがプロデューサーに入れ知恵してたりして。あり得る。
以下略
AAS
28
:
◆TDtVvkz8pSL3
[saga sage]
2018/05/30(水) 01:44:42.79 ID:dFhLHRCO0
ま、ニューヨークなんだけどね。
懐かしー……くもないかな、別に。
だって離れたの自体はそんなに前のことじゃないし?まぁここにいたのはShiki ICHINOSEであって一ノ瀬志希じゃないから、ある意味では完全に異邦人なんだけどね。
名前が売れてるわけでもないし、顔が知られてるわけでもない。まるで野良猫の気分だにゃー。なんてね。
さぁて、またぶらぶらと歩きまわろうか。フレちゃんはいないけどブラデリカ〜。探し物はなんですかー、見つけにくいものですかーってね。芳乃ちゃんに聞いた方が早かったかな?
以下略
AAS
29
:
◆TDtVvkz8pSL3
[saga sage]
2018/05/30(水) 01:45:23.93 ID:dFhLHRCO0
ダッドに連れられて、日本からこっちに来て。英語は読めたけど話せなかったから、初めのうちは凄く大変だった。それでも一ヶ月もすれば慣れたけど。
新しい学校はある意味で快適だったよー。ギフテッドをギフテッドとして育てるための制度が整ってるからね、毎日一対一での授業ばっかりでさ。
しかもアタシがどんどん先に進んじゃうから、先生の名前を覚える前に次の人に変わっちゃうんだよね。覚える気もなかったけど。
一応クラスはあったけど、アタシみたいな変わり者の寄せ集めだし、お互いに全く興味が無いもんだから本当に形だけだったよ。
それ以外のことは……思い出すほどじゃないかな。あの頃はとにかく知りたいことを何でも教えてくれる環境に大興奮で、周りを見てる余裕なんてなかったから。
以下略
AAS
30
:
◆TDtVvkz8pSL3
[saga sage]
2018/05/30(水) 01:46:14.72 ID:dFhLHRCO0
アタシはあれよあれよと言う間に飛んでって、大学入学が決まったのは15歳くらいのことだった。
お偉い教授だったダッドのコネもあったんだろうけど。
いやぁ、楽しかったよー、キャンパスライフ。
だって好奇心の塊みたいな志希ちゃんが、遂に野に放たれたんだもん。
ラボにこもっては寝食を惜しんで実験観察実験観察……ピザにタバスコかけてたくさん食べてたから、今よりまんまるシキチャンだったかもね。
以下略
AAS
31
:
◆TDtVvkz8pSL3
[saga sage]
2018/05/30(水) 01:46:59.18 ID:dFhLHRCO0
でも成果は出してたから、それ以上は言われなかった。論文はいくつか出したけど、初めのうちは先生たちとの共著だったけどみんなに「お前の実験データはお前にしか解読できない」って言われて結局勝手に一人で出したのもチラホラと。
というか、段々人との関わりが減っていったから。飛び級入学だからって目の敵にして来た同期も、初めは親切だったセンパイも、みんなみーんなアタシを避けるように離れていっちゃったんだ。
まるで小学校の頃に戻ったみたいだねぇ。
アタシの目の前には図書館よりもスゴいオモチャがゴロゴロしてたから、退屈はしなかったけどね。化学式と、実験器具の音と、薬品の匂いに包まれて、それだけを生き甲斐にして生きてた……というか、動いてた?生きてたのかな。まぁどっちでもいっか。
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◆TDtVvkz8pSL3
[saga sage]
2018/05/30(水) 01:47:40.56 ID:dFhLHRCO0
そんなマッドサイエンティストシキちゃんどうして大学を辞めちゃったんだと思う?
それに答えるにはね、まずなんでこの世界に来たのかを考えなきゃいけないんだ。
アタシがケミカルの道を選んだのは、ダッドの背中を追って来たから。単に趣味に合ったのもあるけど、一番はそこ。
日本にいた頃はほぼシングルマザー状態で、父親という存在に飢えていたのかもしれない。ともかく、アタシはダッドに振り向いて貰いたくて、ダッドに褒めて貰いたくて、ダッドに追いつきたくて、知識の本棚をひたすらに読み漁った。
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