【ガルパン】エリカ「私は、あなたに救われたから」
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935: ◆eltIyP8eDQ[saga]
2019/03/02(土) 22:34:47.25 ID:d4D1O6AS0




みほが去った港に、まほと小梅が残される。

小梅はうずくまり涙を流し、まほはそんな小梅を悲し気に見下ろす。


小梅「なんで……なんで……?エリカさんは、エリカさんはこんな事望んで……」

まほ「……だとしても、あいつは超えてはならない一線を越えたんだ」

小梅「だからってみほさんを追い出すんですか!?それこそ、エリカさんは望んでないっ!!」


悲鳴のような声が港に響き渡る。


まほ「そうだろうな。でも、あいつはもう変わらない。ここにいればあいつはずっと『エリカ』のフリをして私たちの前にい続ける。お前に、それが耐えられるのか?」


小梅が悔しそうに歯を食いしばる。

まほは知っていた。小梅が今も事故の事を悔やんでいることを。

「全部自分のせいだ」。そう鏡に向かって呟く彼女を見た事があった。

みほに酷い言葉を投げつけられても、それでも笑顔で前を向いていたのは、後ろを向いたらもう戻れないと知っているからだと。

だから、まほは小梅を自分と同じだと思っていた。

だから、あの日、変わり果てたみほと最初に出会ったのが自分でよかったと思っている。

もしも小梅があの『偽物』と最初に出会っていたら、今度こそ小梅は壊れてしまったかもしれないから。


まほ「……私は耐えられない。次は、殴るだけじゃ済まないかもしれない……これが一番なんだよ」


小梅がゆらりと力なく立ち上がる。


小梅「……エリカさんは必要な人でした」

まほ「ああ。代わりなんて絶対に見つからない」

小梅「みほさんは、必要な人です」

まほ「いいや、空っぽの偽物などいるだけ迷惑だ」


その瞳に強い決意が宿る。


小梅「……なら、私が二人の分も頑張ります」

まほ「……今のお前じゃ無理だ」

小梅「だったらっ!!」


先ほどまでとはまるで違う裂帛の気合が小梅の体に力を与える。

そして、まほを射貫くように睨みつける。


小梅「だったら強くなって見せます。エリカさんの分も、私が……みほさんの居場所を守って見せます。いつか、みほさんを戻して見せます」

まほ「……やれるものならやってみろ。私は、私だけで黒森峰を守って見せる。エリカが憧れてくれた私が」


もしかしたら二人は友達になれたのかもしれない。

たとえ傷のなめ合いと言われようと、それでもいつか本当の絆が生まれたのかもしれない。

しかし、まほと小梅は共に並ばなかった。

強い願いを、一人で果たして見せると決意してしまった。

まほが、小梅が、かつて望んだ未来はもう、遠く、見えなくなっていた。





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