【ガルパン】エリカ「私は、あなたに救われたから」
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898: ◆eltIyP8eDQ[saga]
2019/02/23(土) 22:09:01.38 ID:mQ6adVH+0
まほ「……は、ははっ。何を言ってるんだ」
「私は、あなたの妹の西住みほではありません」
冗談というにはあまりにも唐突すぎるその言葉に、私は乾いた笑いしか返せない。
そんな私を、みほは心底心配したような目で見てくる。
「隊長こそどうしたんですか。私をみほなんかと間違えるだなんて」
まほ「冗談にしては、ちょっと悪ふざけがすぎないか?」
「冗談……いえ、私は冗談なんか言ってませんよ」
どうやらみほの冗談はまだ続いているようだ。いくら事故をひきずらないで欲しいと言っても流石にこれはいけない。
私は咳払いをして、少し声のトーンを落とす。あまり責めすぎないように。説教臭くならないようにしないと……
まほ「……みほ、前向きになるのは良い事だ。必要な事だ。だが……エリカを馬鹿にするような真似はやめるんだ」
いくら事故の当事者であろうとも、いくらみほと親しかったとしても、死者を冒涜するような事を許すわけにはいかない。
まほ「お前がエリカの事で辛い思いをしたのは良く知っている。だけど、だからといって冗談でも言っていい事と悪い事があるだろう?」
「私が逸見エリカであることは嘘でもなければ冗談でもないですよ」
まるで悪気のない、後ろめたさを感じないみほの声に少し、本当に少しだけ苛立ちを覚える。
言葉に、棘が生えていくのを実感してしまう。
まほ「……なぁ頼む。はっきりいって不愉快だ」
「そんな……どうしたんですか隊長」
まるで反省する素振りの見えないみほに私はため息をつく。
まほ「どうかしてるのは、お前だろ……みほ、いい加減にしてくれ。辛い事があるならちゃんと話してくれ」
「ですから私はみほじゃなくて」
まだ言うのか。いくらなんでもこれ以上は私も怒ってしまうかもしれない。
ああでもしかし、みほにも何か事情があって……いや、けれどこんな事許されるわけがない。
でもここでみほを叱責したらまたみほが……落ち着いて、冷静になるんだ。
まほ「みほ……やめてくれ」
「隊長こそいい加減にしてください。私は、逸見エリ―――――」
まほ「やめろッ!!!」
突然、弾けるような声が通学路に響き渡る。
先ほどまでのざわめきは吹き飛んで、沈黙が広がっていく。
怒声の張本人である私もまた、自分が突然放った声に驚き、言葉を失っていた。
周囲の視線が私たちを突き刺してくる。
「隊長……?」
まほ「っ……こっちにこいッ」
それに耐えられなくなった私は無理やりみほの手を引き、逃げるように校門をくぐっていった。
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