【ガルパン】エリカ「私は、あなたに救われたから」
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899: ◆eltIyP8eDQ[saga]
2019/02/23(土) 22:14:37.67 ID:mQ6adVH+0
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みほの手を無理やり引き、私は人気の無い体育館裏にやってきた。
いきなり怒鳴られた挙句こんなところに連れてこられたのを不満に思っているのか、みほは怪訝な様子でこちらを見つめている。
「隊長、急にどうしたんですか。始業式始まっちゃいますよ」
まほ「そんなのより、今はお前の事だ」
始業式なんてどうでもいい。
とにかく、今は目の前のエリカを名乗るみほと話さなければならない。
どうして自分がエリカだなんて言いだしたのか。
それをちゃんと聞きだしてやめるよう諭さなければならない。
隊長だとか姉だとかの前に、人として、私はみほと話さなければならない。
私の様子に逃げられないと悟ったのかみほはふっと、息で笑う。
「……やっぱり、いきなりは難しいか」
みほの声が、いや、話し方が、以前のような柔らかく可愛らしい調子になる。
少なくとも、先ほどまでやっていたエリカの真似はやめてくれたようだ。
まほ「いったい、何のつもりなんだ」
「お姉ちゃん、私はね、西住みほはもういないんだよ」
みほの声は嬉しそうで、楽しそうで、それでも私の混乱を取り去ってはくれない。
まほ「……わからない。何を言っているのか全然わからないぞ」
「だからね、あの事故で死んだのはみほなの。で、エリカさんは生きているの」
まほ「頼む……わかる言葉で言ってくれ」
私の懇願にみほは困ったように笑うと、まるで聞き分けのない子供に話すかのように淡々と語り掛けてくる。
「西住みほなんかよりも、逸見エリカの方が価値があるんだよ。だから、西住みほじゃなくてエリカさんに生きてもらう事にしたの」
まほ「みほ……そんなの、出来るわけないだろ」
何を、何を馬鹿な事を言っているんだ。
子供だって騙せない理屈をまるで世界の真理かのように語ってくる。
その瞳には何の後ろめたさもなく、かつての、エリカがいた時のみほのままで、
ずっとその瞳が戻ることを願っていたのに、今は恐怖すら感じてしまう。
「大丈夫。何も心配することなんてないよ。これからはエリカさんがいるから―――――大丈夫ですよ隊長。これからは私がいますから」
みほの声が再び低く落ちる。
姿勢を正し、先ほどまでの柔らかな雰囲気が消え去って、凛と、張り詰めたような表情になる。
それがみほの言う『エリカさん』なのか。そうだと言うのなら、
まほ「違う……お前は、エリカじゃない」
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