【ガルパン】エリカ「私は、あなたに救われたから」
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897: ◆eltIyP8eDQ[saga]
2019/02/23(土) 22:04:54.69 ID:mQ6adVH+0


正直、今のみほにはまだ戦車道をさせたくない。

あれだけの事故があって、大切な人を失って、それでもまた立ち直った強さは本物だと思う。

けれど、まだ自分では気づいていない『傷』があるのかもしれない。

見えない傷は、だからこそ厄介だ。

私はもう二度とみほが悲しむ姿を見たくない。あんな、泣き叫ぶ姿を。

それが心配だから、今はまだゆっくりと普通に学生生活を送って欲しい。

しかしみほは何の憂いも心配も無いといった様子で、


「いえ、参加します。ブランクを早く取り戻さないと」


躊躇いなく言い切ったその声に戦車道への忌避感は感じない。

心配も憂いも私の中にあるが、それでもみほが望むのであれば、本人の意思を尊重してあげようと思う。

戦車道をまた始めてくれる事自体はとても嬉しいのだから。


まほ「そうか。でも無理はしないでくれ」

「はい。お気遣いありがとうございます隊長」


その礼儀正しい返事に私は押し黙ってしまう。

声の事も、髪の事ももう気にしてはいないが、みほと会ってからもう一つ気になっていることがあった。


まほ「なぁ、そんなかしこまらなくてくれ。別に今は試合中でも練習中でもないのだから」

「そうはいかないですよ。体面ってものがあるんですから」


確かに以前私の事は隊長と呼ぶように言った事がある。

でもそれは妹だからといって贔屓はしないという事を周りに知らしめるためと、みほ自身にその事を理解してもらうためのやったことだ。

通学路での何気ない家族の会話にまで持ち込んで欲しいとは思わない。

みほもプライベートでは普通にしていたというのにどうしたのだろうか。


まほ「体面……いや、私たちは姉妹なんだからそんなの気にする奴はいないさ。なぁみほ――――」

「隊長」


みほがその歩みを止める。私が振り返ると、みほはまっすぐこちらを見据え、






「私は、逸見エリカです」









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