【ガルパン】エリカ「私は、あなたに救われたから」
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896: ◆eltIyP8eDQ[saga]
2019/02/23(土) 22:03:10.49 ID:mQ6adVH+0

どうしたのだろう。

つられて私も振り返る。

先ほどまで通学路いっぱいに広がっていた人波の真ん中が、まるで道のように開けて、その最奥に一つの影があった。


まるで今にも消え去ってしまいそうな真っ白な輪郭。

それが誰なのか気づけなかった。

間近まで来てようやく、その影が私の欲しっている、待ち望んでいた人なのだと気づくことができた。


まほ「みほ……」

「……久しぶりですね」


赤星から聞いてはいたが、実際に見るとみほの変貌ぶりにどうしても言葉を失ってしまう。

あの鈴の音のような可愛らしい声は、掠れ切って低くなり、

あの穏やかで、見ていると和んでしまう栗毛はまるで雪のように、燃え尽きた灰のように真っ白になっていた。


私の動揺を見て取れたのか、みほは真っ白な前髪を少し不思議そうにいじる。


「赤星さんもですけど、流石にこれには驚きますか」

まほ「その、すまない。聞いてはいたんだが実際に見るとな……」

「別に謝らなくてもいいですよ」

まほ「あ、ああ」


ぎこちない私を置いてみほは颯爽と学校へと向かい歩き出す。

私も慌てて追いかけてその隣を並んで歩く。

やはり今のみほの姿は目立つのだろう。周囲の視線がチクチクと刺さるが、そんな事よりも妹との久しぶりの会話の方が大事だ。


まほ「それにしても……本当に良かったよ。赤星も喜ぶ」


あの事故が残した傷は未だ癒えてはいないのだろう。

それはみほだけではなく私も、赤星も、エリカの家族も。事故の関係者の心には未だに傷が残っているのだろう。


「あの子には迷惑かけてばっかでしたから。ちゃんとそのあたりお礼言っておかないと」

まほ「別に赤星はそんなの求めたりしないさ。友達なんだから」


あの子も事故の当事者なのに、心に負った傷はみほと変わりないはずなのに、誰よりもみほの事を心配していた。

乗員が学校を去っても、一人残って戦車道を続ける決心をするのは決して並大抵のことではない。

その姿は、その精神は、かつてエリカが評した『強い人』という言葉を証明していた。

そんな友達が、みほを想ってくれていることに心から安心する。


「そうだ。隊長、今日は練習あるんですか?」

まほ「……一応、始業式の後に練習はあるが。別に、今日は休んでも良いんだぞ」




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