【ガルパン】エリカ「私は、あなたに救われたから」
↓ 1- 覧 板 20
823: ◆eltIyP8eDQ[saga]
2019/02/02(土) 21:53:09.17 ID:fXHa/LYp0
そうだ。そうしていればよかった。私はただ、エリカさんだけを助けていれば良かった。
私にとってエリカさんは一番大切な人だった。あの人たちより、私より。
みんなを助けようだなんて我儘で私は大切な人を失った。
まほ『……みほ、お前が助けた人はみんなお前に感謝してたよ』
お姉ちゃんはさっきまでの怒りのこもった声ではなく、泣くのをこらえているかのような声をだす。
まほ『でも……赤星以外の3人は転校したよ』
みほ「……」
まほ『最後までお前に謝ってた。合わせる顔が無いとも』
みほ「……そう」
なんで彼女たちが謝るのだろう。別に、何も悪くないのに。助けたのも、助けられなかったのも私の責任なのに。
どうでもいい人たちの事なのに、なんでかそんな疑問が頭に浮かぶ。同じように疑問に思ったのか、お姉ちゃんは自嘲するように息を吐くと、
まほ『なんでなんだろうな。あの子たちは、何も悪くないのに。お前も、赤星もだ』
お姉ちゃんは私の返事を待たずに続ける。
まほ『なぁみほ。あの事故でお前が責任を感じる事なんてないんだ。悪いのは私なんだ。恨むなら私を恨めばいい。すべての責任は隊長である私にある。だから、』
みほ「お姉ちゃん」
自分に言い聞かせるようなお姉ちゃんの『演説』を遮る。お姉ちゃんが何を言いたいのかよくわかった。
その上で、私の感想を述べる。
みほ「そんなの、どうでもいい」
扉の外から息をのむ音がする。
みほ「お姉ちゃんが悪いとかそんなのどうでもいいの。私が、私がエリカさんを助けられなかった。それが全てなんだよ」
まほ『だからッ!!だからそれは違うんだッ!!』
みほ「違うとか違わないじゃなくて、そうなんだよ。私の中でもう結論は出てるの。私が、全部悪いの」
まほ『みほッ……』
脳裏によみがえるあの日の出来事。それらを一瞬でなぞり、やっぱり私の結論は変わらない。
みほ「私の立てた作戦は読まれてて、そのせいでV号は川に流されて、私は、助けられなくて。私が、エリカさんを死なせたの」
まほ『どうして……わかってくれないんだ。なんで、何で私を……』
縋りつくようなお姉ちゃんの声はもう、泣いていることを隠せていない。それでも私は扉を開ける事は無い。
みほ「お姉ちゃん、帰って。もう、来なくていいよ」
代わりに淡々と帰宅を促すと、お姉ちゃんは必死で嗚咽を抑え込んでいるかのように所々調子の外れた声を出す。
まほ『……赤星には私から謝っておく。……また来るよ』
去って行く足音を聞き届けず、私は部屋へと戻っていった。
978Res/708.34 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20