【ガルパン】エリカ「私は、あなたに救われたから」
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824: ◆eltIyP8eDQ[saga]
2019/02/02(土) 21:57:49.61 ID:fXHa/LYp0





誰もいない部屋で私は一人ベッドにうつぶせになる。

最近はもうコンビニに行くのすら嫌になり、買い込んだカロリーメイトをたまに齧って水を飲むといった有様だ。

いっその事、それすら止めてしまえば楽なのに。空腹と渇きの苦しさなんて、生きている事の苦しさと比べたら大した事じゃ無いのに。

それでも、私は最低限生きようとしてしまう。

寝返りをうち天井を見つめる。あの日以来一度も切っていない髪が顔に張り付いてそれを煩わしそうに払いのける。


みほ「……私、どうなるのかな」


ポツリと虚空に向けて呟いた言葉。いつまでもこんな生活が続けられるだなんて思ってはいない。

学園艦は学生のための場所で、ここは学生のための寮なのだから。

でも、学校には行けない。なら、いずれはここを去らなくてはならなくなる。

家に戻るのか。いや、戻されるのだろう。

でも、今の私はきっと学園艦(ここ)以外では生きていけない。

そうなったら私はどうなるのだろうか。生きていけるのだろうか。

……多分生きるのだろう。どれだけ苦しくても、辛くても、そうしないといけないから。

生きていけないと思うのに、生きていたくないのに。それでも、生きてしまうのだろう。


『生きて』


その言葉があるから、私は今日まで生きてきた。

その言葉のせいで、私は今日まで生きるしかなかった。

あまりにも酷い、残酷な願い。

貴女のいない世界で生きるだなんて、私には耐えられないのに。

いつだって私を励ましてくれた、勇気をくれた彼女の最期の言葉は、私にとって呪いと同じだった。


みほ「エリカさん。なんで、なんでそんな酷い事を言ったの?」


問いかけたところで返事が返ってくることは無い。何度も何度もやった事なのに。

その度にエリカさんがいない事を実感してしまう。

その度に涙が溢れて止まらなくなる。


みほ「……うぐっ、ぐすっ……うぁ、うあぁぁぁ……エリカ、さん……」


あの時、エリカさんを助けに行かずに勝利を目指していればせめてもの慰めになったのに

あの時、エリカさんを助けられていたら勝利も私の命もいらなかったのに

勝利を捨て、大切なものを守ろうとした結果、私は全てを失った

……わかっている。たとえ結末を知っていたとしても、私はあの人を助けに行った。

何もかも失うとわかっていても、私は濁流に飛び込んだのだろう。

それでも、もしも、もしも勝利が残っていたのなら、もしかしたら。

何か変わっていたのかもしれない。

ありもしない仮定にあり得ない結末を重ねて、私は今に絶望する。

そしてまた、気絶するように眠りについて目覚めた時、エリカさんのいない世界に絶望するのだろう。

ならいっその事永遠に眠り続けられればいいのに。

そんな馬鹿な事を考え、せめて一秒でも早く眠りにつけることを願って瞼を閉じると――――軽快な電子音が部屋に鳴り響いた。



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