【ガルパン】エリカ「私は、あなたに救われたから」
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789: ◆eltIyP8eDQ[saga]
2019/01/19(土) 19:09:32.76 ID:mYSOjYXE0
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みほ「……ん」
最初に感じたのが、窓から入る日差しの眩しさ。次に感じたのがツンとする消毒液の匂い。
遅れて、全身にまとわりつく倦怠感。意識と共に少しずつ目覚めていく感覚が、私がベッドに寝かされている事を教えてくれた。
―――どこだろう、ここ。
自分の置かれている状況が分からず、私は困惑することしかできない。
みほ「なんで、私……」
その時、少しずつ蘇ってきた感覚が私にもう一つ新しい情報をくれた。――――私の手を握っている誰かの感触を。
もぞもぞと体を動かそうとすると全身に痛みが走り、仕方なく眼球と、わずかに動かせる首だけで握られている右手の方を見てみる。
そこには、包帯に包まれた私の手を握ったまま、こくりこくりと舟をこいでいるお姉ちゃんがいた。
みほ「お姉、ちゃん?」
声すら上手く出せない。けれども、私の掠れ切った声にお姉ちゃんはぱっと目を開く。
まほ「……みほ?――――みほっ、みほっ!目が覚めたんだなっ!?」
お姉ちゃんは縋りつくように私の肩を掴むとぽろぽろとその瞳から涙を流す。その目元には濃い隈が出来ていた。
まほ「良かった……ホントに良かった……」
みほ「お姉ちゃん、ここ、どこ……?」
お姉ちゃんが子供のように泣く姿なんて初めて見るもので、けれども自分の現状が何一つわからない事の方が不安だから、
泣きじゃくるお姉ちゃんに尋ねる。私の質問に、お姉ちゃんははっとして目元を拭い、赤くなった瞳のままゆっくりと語り掛ける。
まほ「ここは病院だよ、お前は入院してるんだ」
みほ「え……なんで……?」
入院、そう言われてようやく私のいる場所が病室なのだと気づく。個室なのか、私の以外ベッドはないようだ。とりあえずここがどこなのかは分かった。
だが、新しい疑問が出てきてしまう。――――なんで私は入院しているのか。
まほ「覚えてないのか?……無理もないな。あれだけの事があったんだから……待ってて、今お医者さんを呼んでくる。お父さんも来てるんだ」
みほ「ねぇ……何があったの……?今は、いつなの?」
そう言って席を立とうとしたお姉ちゃんを呼び止める。お姉ちゃんは一瞬ためらうような表情を見せるも、やがて胸の内を吐き出すように語り始める。
まほ「……お前は決勝の時に事故で流されたV号の乗員を助けて怪我をして、今日まで一週間も眠っていたんだ。」
曖昧だった頭の中に少しずつ記憶がよみがえってくる。ああそうだ、私は決勝に出ていたんだ。
大事な10連覇がかかった試合で、けれどもプラウダの人たちはとても強くて、追いつめられた私たちは、相手の裏を取るために動いて、
雨が、強くなって、プラウダは待ち伏せをしてて、撃たれて、崩れて、V号が、流されて、私は、それを――――
みほ「1週間……っ!?」
その瞬間、ベッドから体を跳ね起こす。
全身に痛みが走り、引きつるような声が出てしまうが、そんな事を気にしている余裕はない。
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