【ガルパン】エリカ「私は、あなたに救われたから」
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774: ◆eltIyP8eDQ[saga]
2019/01/12(土) 17:59:56.17 ID:Ghx7XHue0
やめて。そんな、そんな諦めた表情をしないで。
そんな、力なく微笑まないで。
私の知ってるエリカさんはそんな弱々しい表情をしないよ。
私の知ってるエリカさんはいつだって強くて、凛々しい人なんだ。
体温を奪われて弱気になっているだけなんだ。そのはずなんだ。
頭の中でぐるぐるとそんな言葉が駆け巡る。
渦巻く感情が私の体を勝手に動かす。
上半身を車内に入れ、エリカさんの手を掴む。
エリカ「みほ、やめて。……やめなさいッ!!」
私の手を振り払おうとするも、力なくただ揺らす事しか出来ない。体温を奪われすぎているのかもしれない。ならばもう、一刻の猶予も無い。
その手を離さないようしっかりとつかんで、力任せに引き上げる。
エリカ「っ……」
脚に響いたのだろう、エリカさんの表情が苦悶にゆがむ。けれども、そんな事を気にしている余裕はない。早く脱出しないと。
みほ「エリカさんっ、絶対に離さないでっ!!」
なんとかエリカさんを引き上げて、車体に掴まらせる。無理やり引き上げた私を睨みつけようとしたエリカさんは、けれども目の前に広がる光景を見て呆然とする。
激流は想像以上になっていたのだろう。大きく見開かれた目が彼女の感情を表していた。
辛うじて上半身をキューポラにとどめている手からゆっくりと力が抜けていく。
その手をしっかりと握りしめる。
エリカ「みほ、やっぱり無理よ。離して」
諦めと絶望、それらがないまぜになったような空虚な声。そんな言葉を聞くつもりは無い。
みほ「……嫌だ」
エリカ「お願い」
みほ「嫌だ」
エリカ「……やめてっ!!離してっ!!」
埒が明かないと見たのだろう。エリカさんは繋いだ手を振りほどこうとするも、やはり力なく揺れるにとどまる。
みほ「やめません、離しません」
エリカ「っ…あなたまで流されるわよっ!?」
力では敵わないと察したのか、エリカさんは必死で私を説得しようとしてくる。私を見つめる瞳には焦りと動揺が浮かんでいる。
分かっている。このままじゃ二人とも助からない。でも、エリカさんなら、エリカさんだけなら。
根拠は無くても確かな自信が、決意が、私に力をくれる。
きっと私なら。貴女を助けられる。
その瞳をじっと見つめて、ゆっくりと語り掛ける。
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