【ガルパン】エリカ「私は、あなたに救われたから」
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773: ◆eltIyP8eDQ[saga]
2019/01/12(土) 17:58:33.43 ID:Ghx7XHue0


後ろから聞こえる声に答えず、勢いのまま飛び込む。疲れ切っていた体はもはや手足の感覚さえ曖昧で、ただただエリカさんを助けたいという気持ちで何とか手足を動かしていく。

何度も何度も意識が飛びそうになり、それでも体は止まることなく進んで行き、そして、V号に着く事に成功した。


みほ「エリカさんッ!!」


V号は既に車体のほぼ全てが水に浸かっていた。けれども、先ほどまで流されていた車体は今その動きを止めている。

川底に引っかかっているのか。なら、今がチャンスだ。これ以上流される前に助け出さないと。

僅かに水面から出てるキューポラをのぞき込むと、その中に彼女はいた。


エリカ「……」

みほ「エリカさん……?エリカさんっ!!?」


エリカさんの瞳は何もない虚空をじっと映していた。水没が進み車長席すら水に満たされ、彼女の髪が水面に広がりゆらゆらと揺蕩っている。

私の呼びかけに、エリカさんはゆっくりと目を向ける。


エリカ「……バカ、なんで戻ってきたの。危ないじゃない」


心底呆れたといった様なその言葉に怒りを覚えたのは無理も無いと思う。私が、どんな気持ちでいたのか、わからないわけないだろうに。


みほ「それはこっちのセリフだよッ!?こんな時に何して―――」

エリカ「みほ、私はダメよ」

みほ「……え?」


彼女は自嘲するように微笑むと、そっと水に隠れた足を撫でる。


エリカ「戦車が滑り落ちた時にぶつけちゃったみたい。多分、ヒビぐらい入ってると思う。まったく……情けないわね」


そう言って足を上げようとして顔を苦悶に歪める。いや、足だけではない。

よく見ると髪に隠れた彼女のこめかみから血が流れている。多分他にも怪我をしているのだろう。


みほ「そんな……」

エリカ「だから、急いで戻りなさい。これ以上流れが強くなったらあなたでも……。私は、救助を待ってるから」

みほ「っ……嫌っ!!嫌だっ!!」


何を、何を悠長な事を。救助を待つ?未だその影は見えない。すでにエリカさんの体は浮き上がるほどに水に浸かっているのに。

川の流れは、今にもV号を飲み込もうとしているのに。何よりも、誰よりも命が危ないのはエリカさん本人なのに。

なのにエリカさんは慌てた様子もなく諭すように語り掛けてくる。

いや、きっとわかっているのだろう、救助は間に合わない。だからせめてみほ(私)だけでも、と。

そんなの、納得できるわけないのに。


エリカ「我がまま言わないの……これは、私が悪いんだから」

みほ「何言ってるのッ!?悪いとか悪くないとか、そんなの今はどうでもいい!!」

エリカ「みほ……わかって」





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