【ガルパン】エリカ「私は、あなたに救われたから」
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772: ◆eltIyP8eDQ[saga]
2019/01/12(土) 17:56:02.36 ID:Ghx7XHue0




ろくに先の見えない川の中を必死で泳いでいく。赤星さんに気を配る余裕は殆どなく、ただただ彼女が流されないよう必死にその体を掴むばかりだ。

我武者羅に、ひたすら手足を動かす。それは赤星さんも同じなのだろう。私の体を掴む手は痛いぐらいに強く力が込められている。

文字通りの一蓮托生。後に続いているであろうエリカさんの目の前で私たちが流されるわけにはいかない。

息継ぎさえ忘れるほどの決死行はやがて体全体で地面を認識することで終わりを告げる。


みほ「っ……はぁ、はぁ、うっ……げほっ!!げほっ!?」


なんとか川岸にたどり着いた私は、必死で息を吸い、飲み込んだ水を吐き出す。

ようやく喋れるぐらいに呼吸を整え、同じようにえづいてた赤星さんに疲れ切った笑顔で呼びかける。


みほ「な、なんとかなったね……」

小梅「は、はい……ありが、とうございます……」


その言葉に安心した私は、ばたりと仰向けに倒れこむ。もう指一本動かせないかな。なんて他人事のように思ってしまうぐらい体から意識が離れていきそうで、

実際もうやるべきことは終わったのだから後は救助の人に任せればいいかと、そっと目を閉じようとして―――――


小梅「……エリカさんは?」


赤星さんの呆然とした呟き。飛び去ろうとした意識は一瞬で体へと戻り、私は飛び跳ねるように体を起こす。


みほ「赤星さん、エリカさんは?」


大きく見開いた目に映るのは、先ほどよりも流れが強くなった川と、僅かに見えているV号だけだった。

すぐに周囲を見渡す。私と、赤星さんしかここにはいない。

嘘、嘘、嘘、


みほ「え……エリカさん?エリカさんっ!!?」


必死で叫ぶ。冷え切った体は声を出すのすら一苦労で、音程なんてまるででたらめな声が喉から出る。

しかし、一向に返事は返ってこない。


小梅「まさか……流され……」


その言葉を否定しようと口を開くも、現にエリカさんはいない。でも、ならどうすればいいのか。

そうだとして、荒れ狂う濁流の中探し出すのは無理だという事はいくら私でも理解できてしまう。


みほ「嫌……嫌!?エリカさんっ!?」


どうすればいいかわからず、ただただ悲鳴のような叫びをあげることしかできない。

目の前が真っ暗になりそうな絶望感の中、ふと視線の先に違和感を覚える。


みほ「もしかして、まだV号の中に……」


川に取り残されたV号のキューボラから、わずかに手が見えた。見えたような、気がした。

真偽なんて考えるつもりはない。次の瞬間、私は川に向かって駆け出していた。


小梅「みほさんっ!?待って、わた、私もっ!!」





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