【ガルパン】エリカ「私は、あなたに救われたから」
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771: ◆eltIyP8eDQ[saga]
2019/01/12(土) 17:53:25.16 ID:Ghx7XHue0
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濁り切った水の中は視界なんて無いに等しい。それでも必死でもがき前に進むうちに大きな影を見つける。
みほ(……V号っ!早く、早くっ!!)
V号を見つけた私は、とにかく近づこうと手足を動かし、ようやく張り付くことに成功する。
既に車体の半分が水没している状況だ。まずは操縦手の子を助けようとハッチを開け、流れ込む水に逆らって引っ張り出す。
操縦手「うぇっ、ゲホッゲホっ!!」
水を飲んだのだろう苦しそうにえづく。けれども状況はそんな時間を与えてくれない。私は彼女をV号の砲塔につかまらせ、続けて通信手、砲手の人を助け、川岸を指さす。
みほ「早く泳いで!!浅瀬に向かって、急いでっ!!」
3人はすぐさま川に飛び込んで泳いでいく。どうやら怪我らしい怪我はないようだ。ここにきて、日ごろの厳しい訓練が功を奏したのかもしれない。
みほ「っ……エリカさん!!赤星さん!!」
息をつく暇はない。まだ、二人残っているのだ。私はキューポラに這い上がり、中を見る。車長席にはエリカさんが、その足元に小梅さんが座っていた。
エリカ「みほっ!?あなた何してるのっ!?」
驚いた様子でこちらを見るエリカさんの姿は、思っていたよりも元気そうで思わず安堵してしまう。しかし、すぐに気を引き締め彼女に呼びかける。
みほ「エリカさんっ!!早くっ!!流れ、どんどん強くなってるッ!!赤星さんも早くっ!!」
エリカ「っ……わかったわ。みほ、この子をお願い」
エリカさんは座ったままひざ元の赤星さんの肩を叩く。赤星さんはふらりと、覚束ない足取りで立ち上がる。
小梅「エリカ、さん……?」
エリカ「落下したときにちょっと頭を打ったみたいだから……お願い、見ててあげて」
小梅「エリカさん私は……大丈夫です、から……」
どこか虚ろな赤星さんにエリカさんは諭すように語り掛ける。
エリカ「怪我人は車長の言う事を聞きなさい。……みほ」
みほ「……わかりました。赤星さんっ!」
小梅「ごめんなさい……」
赤星さんの手を引いて引っ張り出す。波は強く、立っていられないほどで、すぐにでも川岸まで行かないといけない。
エリカ「私もすぐにいくからもう行きなさい!!」
車内から聞こえるエリカさんの声。出来る事なら彼女も一緒に連れていきたいが、赤星さんを抱えた状態でそれは難しい。
とにかく、今はエリカさんを信じて行くしかない。私は肩につかまらせている赤星さんを励ます。
みほ「大丈夫だよ。ほら、しっかりつかまって。……行くよ」
返事を待つ暇は無かった。次の瞬間、私たちは濁流に飛び込んだ。
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