【ガルパン】エリカ「私は、あなたに救われたから」
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714: ◆eltIyP8eDQ[saga]
2018/12/23(日) 22:53:13.41 ID:8Wy7TEBX0
私の言葉にエリカさんはこらえきれずに吹き出す。
つられて私も声を上げて笑う。
こんな風に笑い合うのは初めてで、私は、エリカさんとこんな風に笑い合えるぐらい近くにいるんだと実感できて、余計に嬉しくて笑ってしまう。
だんだんと笑い声は小さくなっていき、そして静寂が訪れる。
その静かな時間が心地よく感じて、風を感じようと上を向いてみると大きな満月が目に入った。
みほ「……エリカさん」
エリカ「何?」
みほ「……月が綺麗だね」
まばゆいまでの輝きは、けれどもベールのように私を包み込んで優しく、柔らかく感じる。
エリカ「もう、あなたまた……まぁいいわ」
何か言おうとしたエリカさんはけれども二の句を止め、代わりに立ち上がって月を見上げる。
いつだって強く真っ直ぐに前を見つめている碧い輝きを持った瞳は、けれども輝く月とは対象的にどこか寂しそうで、悲しそうに見えた。
みほ「エリカさん?」
エリカ「……私、昔は月って好きじゃなかったわ。太陽の、誰かの力を借りないと輝くこともできない弱い存在に思えて」
『私、月って嫌いなの』
初めて会った頃、エリカさんが月明かりの下でそう呟いた事を思い出す。
あんなにも美しい月を嫌いだと、寂しそうな目でいうのが不思議で、そしてその理由を尋ねた私にこう言った。
『いつか、話すかもね』と。
みほ「……今は違うの?」
その『いつか』が『今』だと感じた。
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