7: ◆hQrgpWdMp.[saga]
2018/05/15(火) 21:50:07.96 ID:TeqkJU5v0
次の日、田舎らしく質素だが暖かな朝食を共に食べたあとジータに乞われて剣の修行を付けることになったリーシャは、彼女を伴って森のまだ魔物が現れないほどの浅く開けた場所へ行き、木剣を使った模擬戦を行っていた。
「たぁっ!」
「踏み込みが足りませんよ」
勢い任せに突っ込んで来るジータの木剣をリーシャはさらりと切り払う、
「むむ〜! やぁ! とぉ!」
「力任せに振り回すだけでは剣術とは言えませんよジータ」
「きゃあっ!」
なおも勢い任せに振り回されるジータの剣を、リーシャは苦笑を浮かべて自分の木剣で弾き飛ばす。
「ちゃんとした剣の握り方、振り方から教える必要がありますね」
「う〜、ちゃんとできてると思ってたのに〜」
尻もちをついてしまったジータは悔しそうにつぶやきながら、差し出されたリーシャの手を掴んで立ち上がった。
「ちょっとは手加減してよセリアお姉ちゃん〜」
「これでもちゃんと手加減しているんですよ」
ほっぺたを膨らませるジータが微笑ましくてリーシャは笑みを浮かべながらそう答えた。
(ごめんなさいセリア士官……)
心の中で偽名に使った父の部下に詫びながら。
いつかジータが七曜の騎士を知ったとしても、別の誰かの娘だと思ってもらえるなら憧れを持ち続けてくれるかもしれないと考えたからリーシャは偽名を名乗ったのだ。
将来は秩序の騎空団に入ることになるリーシャの名は、望む望まないに限らず有名になることは予想が付く。
(碧の騎士の娘だから……)
「どうしたの? セリアお姉ちゃん」
「いえっ、何でもないですよ。さあ、剣を取ってもう1本です!」
急に暗い表情になったリーシャを心配そうに見上げるジータにそう答えリーシャは剣を構えた。今は『セリアお姉ちゃん』としてジータとの時間を楽しむことだけを考えようと。
18Res/34.83 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20