3:名無しNIPPER
2018/05/14(月) 18:50:03.00 ID:uhnnpcVlO
CG総選挙は、自分のいちばん大切な子を応援する場。だから俺もそうしたし、みんなもそうした。それだけの話。
それに、同情で得た人気になんの意味がある? ほたる自身も、そんなのはきっと喜ばない。
それは、分かっているけれど。
今年も届かなかった。その事実はこころに重くのしかかり、そしてそれは、あまりにも重い。
「…………ほたるに、会いにいかないと」
おれはあいつを、いちばんにしてやれなかった。ほたるに、歌をやれなかった。だからせめて、あいつが辛い時に隣に居るぐらいはしてやりたい。今日はオフだから、ほたるは女子寮に居るはずだ。
事務所のロビーに出る。そこで不意打ちを食らった。
「ほたる……」
ほたるが居た。
フロントに備え付けられた大きな液晶テレビ。そこに映る総選挙の結果告知を前に、ほたるは呆然と立ちつくしているようだった。それがあまりに痛ましくて、おれは咄嗟に声を掛けられない。
「あ……」
ふとこちらに顔を向けたほたるが、おれを認めた。おれとほたるの間はほんの数メートル。声を掛けるのに困る距離ではない。だけどおれは何も言えなかった。なんて言えば良い? 気にするなだなんて、次こそ頑張ろうなだなんて、どうやったら言える?
おれは、ほたるに責められる覚悟をした。二人ならきっと、あの舞台に立てる、立たせてみせる。その約束を守れなかったのだから、どんな誹りも受けるつもりでいた。
つまり、おれはほたるのことを何も分かっていなかったのだ。
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