【バンドリ】湊友希那「バンドやらない?」美竹蘭「……は?」
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20:名無しNIPPER[sage]
2018/05/14(月) 08:59:58.22 ID:EZCEfSpa0

蘭(あたしにとっての――あたしたちにとっての『いつも通り』はいつから特別になっていたんだろうか)

蘭(思い出は数多くある。嬉しかったこと、悲しかったこと、何でもない普通のこと)

蘭(きっかけはどれだっただろうか。やっぱり中2の屋上での出来事だろうか、という気もするけど、それよりももっと前からあったようにも思える)

蘭「……なんでもいいか」

蘭(考えた末に口から漏れ出た呟き。それが答えでいいような気がした)

蘭(多分、『いつも通り』の始まりなんてなんだっていいんだ)

蘭(超能力で空を飛ぶような非日常的なことだって、クラスで席が近いから声をかけるようなありきたりなことだって、なんでもいい)

蘭(そんなものを積み重ねていくうちに、気が付いたら特別になっているものがある。……そういうものなんだろう)

蘭(この黄昏に向かう空だって誰かからすれば平凡なもので、もっと言えば嫌な思い出の象徴かもしれない)

蘭(だけど、あたしにとっては特別で大切なものだ。『いつも通り』の情景にはいつだってこの空があった。瀬田先輩の言葉ではないけど、つまりそういうこと……なんだろう)

蘭(見慣れた街並み。歩き慣れた道。春になる度に、あたしはその中で迷子みたいな気持ちになって、道しるべを探している)

蘭(そんな時に独りぼっちのあたしを救ってくれるのが夕間暮れの思い出だ)

蘭(そして、平凡でありきたりで、何ものにも代えられない大切な思い出を一緒に積み重ねてきたみんなだ)

蘭(別れの季節だから春が嫌い。そう思う気持ちはきっと、ずっと変わらない)

蘭(だって……別れを惜しむのは素晴らしい出会いがあったからだ。そしてたくさんの大切な思い出ができたからだ)

蘭(だからきっと、あたしが春に抱くこの憂鬱な感傷も、捨てることのできない特別で大切なものの一部なんだろう)

蘭(そう考えると、さっきから胸中に抱えていたなんとも言い難い変な気持ちも違うものに変わっていくような気がした)

蘭(それが少し不思議で――でも嫌な感じは全然しなくて、あたしの顔に自然と笑みが浮かぶのだった)


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