遊び人♀「おい勇者、どこ触ってんだ///」
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82: ◆CItYBDS.l2[saga]
2018/08/28(火) 22:56:47.41 ID:3l3UqrgJ0


「そろそろ結末を見越した方がいいと思うんだけど」


「そ、それはちょっと気が早いんじゃないか?」


「そう?そんなことは無いと思うけど」


「さいでございますか」


突然の彼女の言葉に、俺は完全に動揺してしまっていた。
声はあからさまに震え、少し上ずってしまっている。

しかし、ほんの数日の間、時を同じくしただけで、こんなにも彼女に心を寄せてしまっているという事実を認めるのは非常に抵抗がある。
それだとまるで、俺がチョロい男みたいじゃないか。それは、どうも、男としての沽券に関わる。

これまでだって、一時的ではあるが女性とパーティーを組んだことはあった。
確かに、その都度、女性と二人きりという状況に心ときめいたこともあった。
だが、別れに際して、ここまで心を揺り動かされたことがあっただろうか、いやないはずだ。

もしかすると、当時は未だ魔王のもとへとたどり着いていなかったがために、俺に多少の緊張感があったということだろうか。
その緊張感が、彼女たちと親密な関係になりたいという俺のリビドーを抑えていてくれたのかもしれない。
だとすれば、今の俺はなんだ。魔王をとり逃してしまうという大失態を犯しながら、仮初の平和に気を緩めてしまっている軟弱者ではないか。

……ならば、これは、男の沽券云々の問題ではない。
俺の勇者としての在り方の問題だ。

正直に言おう、彼女といるのは楽しい。
だが、それに甘んじ魔王を倒すという使命が揺らぐくらいなら初めから勇者の仕事など引き受けてはいない。
だから、これは自分への戒めとして、俺たちの旅の結末について確りと考えておくべきなのだ。

なに、今すぐ旅が終わるというわけではないし、俺たちの関係が今後どのようになるかはわからない。
あくまで、色欲に杭を打ち込んでおくというだけのこと。自身に、その覚悟を再認識させるだけの話なのだ。


「だってさあ。路銀だって限られてるんだし。いつまでもこの教会の屋根裏部屋に間借りしているってわけには行かないでしょ?」


「ん?」


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