34:今日はここまでです ◆CItYBDS.l2[saga]
2018/06/08(金) 22:57:29.06 ID:/Kiw1pMk0
「そう、私の仕事は遊ぶこと。時に、石を拾ってお手玉をし、大声で歌い、指をぐるぐる回し、ダジャレを言ったり、足がもつれて転んだり」
「酒を飲んだり、紙に火をつけて投げつけたり、くしゃみをしたり」
「そんなの仕事とは言えない。ただの役立たずじゃないか……」
「そう、遊び人の行動の多くは無駄なことばかり。しかしだね、遊び人は時に誰かを励ますという仕事も持っているんだ」
「さて勇者様、これは恐ろしく強大な魔王のみならず、禁制である酒にすら挑まれた猛々しい勇者様へ。私から贈る、僅かながらのエールでございます!」
罠かもしれない……いや、知ったことか。例えそうだとしても、俺が乗り越えてきた苦難に比べれば。
女の子一人の仕掛ける罠なんてたかがしれている。それに対して、魔王の情報は千金に値する。
これは、俺にとってノーリスクハイリターンも同様ではないか!
「頼む!俺は今度こそ魔王を……!」
「それじゃあ、肩につかまってくださいな」
彼女の肩をつかむ。それは、俺の物とは違い酷く柔らかく感じられた。
女の身に触れるのも初めてのことだった。力を籠めれば、肩を砕いてしまいそうだ。
「生きますよ勇者様」
「千鳥足テレポート!」
視界がぐるぐると回る。
まるで世界が混沌に包まれたかのようだった。
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