261:今日はここまでです ◆CItYBDS.l2[saga]
2019/06/02(日) 20:06:24.94 ID:NZ43uSLl0
もう、彼女に酒を無理やり飲ますことはできそうにない。だが、俺にはまだ秘策があった。
「すまん、遊び人!」
「ふぇ?」
彼女の赤いマフラーで、彼女の頭を包み込む。マフラーから彼女の頭が零れ落ちないように、念入りに固くしばりつける。
「どおりゃあああ!」
マフラーの先を握り、彼女の頭を重しに腕をグルングルンと振り回す。
「ちょ! ちょっちょっちょとおおおおおおおおおおおお!!」
彼女の悲鳴があがるが、お構いなしだ。俺は、その速度をどんどんと上げていく。ぐるんぐるんぐるんぐるん。
彼女の身体の足元がふらつき始める。そりゃあそうだろう。たとえどんなに酒に強かろうが、酒が入った状態でこれだけ振り回されれば、彼女と言えどたまるまい。彼女の体は、諦めまいと一歩踏み出す。だが、右足と左足が交差してしまい転んでしまった。うむ、見事な千鳥足だ。
「あ、もう無理」
腕の先から、何もかもを諦めてしまい生気の抜けきった彼女の声が俺の耳へと届いた。その声と同時に、何とか立ち上がろうと四つん這いで踏みとどまっていた身体が地に伏せる。そうして、体は微動だにしなくなった。
俺は、歓喜の声をあげ腕を振るった。俺たちの勝利だ!
空からは、喉を鳴らす彼女の声と共に虹色の雨が降り始めていた。
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