遊び人♀「おい勇者、どこ触ってんだ///」
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255: ◆CItYBDS.l2[saga]
2019/06/02(日) 16:17:03.50 ID:NZ43uSLl0
 だが、今考えるべきは彼女の心境よりも目の前の大鎌だ。さすがに、何でできているかもわからない刃物に俺が今持ちうる耐性で対抗できるとは思えない。

 かといって、手段がないわけでは無い。こちとら、この体で長年戦ってきているのだ。耐性のない物との戦い方は心得ている。すなわち、耐性がつくまで可能な限り攻撃を受け続ける。炎魔将軍との戦いの中で、燃える刃耐性を身に着けた手法だ。多少のダメージをもらう覚悟さえもって臨めば、100%これで勝てる。


 俺の覚悟を知ってか知らずか、遊び人は大鎌をゆっくりと構えた。左足を後ろへとひき、腰と腕を目いっぱい使って上半身を限界まで引き絞っている。その必殺の構えに、思わず冷や汗が頬をつたる。

 全身を使って引き絞ったその上体が、放たれたとき、振るわれる大鎌は間違いなく俺の体を両断することだろう。多少のダメージでは到底済まない。もらえば、一撃で絶命すること間違いなしだ。


「初めて会ったとき、俺に元騎士だって言ったよな。あれは嘘だったのか?」


 俺は、時間が欲しかった。少しでも時間を稼ぎ、次の手を考えなければならなかった。
 場繋ぎ的な質問を飛ばしたのは、そうした狙いがあってのものだった。


「魔王に仕える騎士だったのよ。嘘はついてない」


「暗黒騎士だったのかよ。魔族だってのも聞いてなかったぞ」


「……言うタイミングを逃しちゃったのよ」


 ダメだ。まったく、対策が思いつかない。
 これは、覚悟を決めるべき時なのかもしれない。ダメージをもらう覚悟ではなく、死ぬ覚悟を。


 じんわりと額に滲んだ汗を、腕で拭う。
 大きく息を吐きだし、目の前の可憐な少女をにらみつける。


「お願いだから……絶対に避けて」


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