遊び人♀「おい勇者、どこ触ってんだ///」
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213:今日はここまでです ◆CItYBDS.l2[saga]
2019/05/14(火) 20:57:33.86 ID:X2S/KtAR0


 がっきーん。


 謎の金属音が倉庫に響く、まるで時間が止まったかのように沈黙が訪れた。


 剣が、皮すら切り裂くことができずに俺の額でピタリと止まってしまっていたのだ。


 炎魔将軍、さらにはミノタウロスすら、そのあまりの光景に空いた口がふさがらずに呆けてしまっていた。


「お前の炎の剣。ようやく俺の体が慣れたようだ」


 受けた傷の数だけ強くなる。俺の耐性の力が、炎の刃を受け続けることによって、それに完全なる耐性を手に入れていたのだ。

 俺は、肩の関節を自ら外し、ミノタウロスの拘束を抜け、阿呆面を晒している炎魔将軍の顎に飛び蹴りをかます。炎魔将軍は、何が起こったのかもわからないまま、激しく脳を揺さぶられ、あおむけに倒れた。

 遅れて、我に返ったミノタウロスが、拳をふりかぶって襲い掛かってくる。それを、落ち着いて半身で回る様にかわし、回しげりをやはりミノタウロスの顎にお見舞いする。その巨体が、地面へと崩れ落ちる。


 周囲を見回す。もう、どこにも、立っている者はいなかった。まるで魔物柄のカーペットが床一面へと敷かれたような死屍累々といった様だが、誰一人として命を奪われたものはいなかった。


 ああ、なんとか終わったぞ。

 両肩は外れ、装備はズタボロ、身体中傷だらけ、剣もどこかにいってしまった。襲い来る疲労感に、いまにも気を失ってしまいそうだ。


「今夜はぐっすり眠れそうだ……」


 目をつむり、倉庫の天井を見上げた俺に


「では、もうおやすみになられては如何です?」と、どこからともなく、力強く優しい声が囁かれた。

 
 独り言のつもりが、思わぬ返答に俺はぎょっとする。


 次の瞬間、後頭部に重い衝撃が走り、俺は振り向きざまに倒れこむ。


 幽かに薄れゆく意識の中で、俺の目に映っていたのは見覚えのある顔だった。


 マスター……なんでアンタがここにいるんだ……?


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