205: ◆CItYBDS.l2[saga]
2019/05/12(日) 10:49:38.32 ID:a8CCrCX80
ごごごごご。大扉は、大きな音をたてながら少しずつ開いていく。すると、その音を聞きつけて倉庫の奥から男が出てきた。背が大きく、シャツの上からでもその屈強さが伺われるほど筋肉が張っている。なるほど、一見すると倉庫街で働く大男といったところだ。
「なんだぁ、おまえ?」
「……俺はただ眠りたいだけなんだ」
「じゃあ、家に帰って眠れば?」
困惑する大男をしり目に周囲を伺っていると、更にもう一人やはり、同じような背丈の大男が異変を感じてやってきた。
「おいどうした?」
「いや、酔っ払いが入ってきちゃってるんだよ」
「いやまて、そいつどこかで……」
「おまえら、靴はどうした?」
俺からの不意の質問に屈強な男二人は、はっとした顔で自分の足元を見る。彼らは、二人とも素足で妙なことにつま先だけで立っている。
大男たちは互いの顔を見合わせ、次の瞬間、二人同時に俺の顔めがけて拳をふるってきた。しかし、そこには既に俺の顔はなく拳は空をきる。俺は身体の力を抜き、重力の助けを借りることで尋常ならざる速度でしゃがみ込み拳を回避したのだ。攻守交替と、俺は剣を鞘ごと腰から引き抜き、勢いそのままに最初に出てきた男の顎を剣の柄でくだく。そして、息つく暇もなく剣を純手にもちかえ、右の男の側頭部を振りぬいた。
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