遊び人♀「おい勇者、どこ触ってんだ///」
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142: ◆CItYBDS.l2[saga]
2019/03/27(水) 20:20:24.93 ID:DIeGWH8y0


「お客様、いえ勇者様と呼ばせていただいてもよろしいですか?」


俺は言葉を発さずに頷く。


「では勇者様、先ほど貴方がおっしゃったことですが半分は正しいです」
「ここは、この世界においては酒の最前線と呼べるでしょう。しかし、更なる先が存在するのです」


どこに?


「異世界です」


話を聞き終えた俺の頬を一雫の涙が流れ落ちた。
悔しくても認めなくてはならない。
この酒場の主人はただものではないということを。
彼が語る物語は、実に雄大かつ繊細で聞く者を皆惹きつけてしまう魅力をもった物だった。
あまりの面白さに、小便を我慢しすぎて漏れてしまう寸前だったほどである。あるいはこの頬を伝った涙は心の小便なのかもしれん。
あぁ、自らの表現力の乏しさを皆さまに暴露してしまうのが実に恥ずかしいが彼の話を俺なりに要約しよう。

マスターは名門戦士家の嫡男として生を受けたが、その興味は剣や魔法だけではなく酒へも向けられた。
しかし、その家柄から若き日々はその鍛錬へと費やされマスターの酒への欲求は日々積もるばかりであった。
マスターは長き日を耐え続けた。そうして遂に、妻をとり子をなし自身の息子が成人を迎える日に至ってその欲望が爆発した。

成人したばかりの息子に、即座に当主の座を譲り自らは未だ出会わぬ酒を求めて旅に出たのだ。
マスターの旅は、この世界の隅から隅までを探索しつくし遂には異世界へと足を延ばすこととなる。
煌びやかな鉄の車が走り、地上に星が生えたかのよう明るさを持った街にたどり着いたマスターは遂にカクテルと出会う。

しかし、いつからかマスターは酒を飲むだけでは満足できなくなってしまっていた。
彼に沸いた新たな欲求は、故郷の酒飲み友達とともにカクテルを酌み交わしたいというものであった。
そうして一念発起したマスターは、異世界でカクテルの技術を修めこの世界へと舞い戻り店を開くに至ったのであった。


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