128: ◆CItYBDS.l2[saga]
2019/02/21(木) 23:32:55.40 ID:Fom+zo150
目を開けると、そこには俺の胸の高さほどのカウンターがあった。
そして、そのカウンター越しには壮年の男が一人。
「みぃぃぃつぅぅぅうぅけぇぇぇぇたぁぁあぁあ」
思わず歓喜の声が出てしまっていた。
それだけか、顔中の表情筋が全てにおいて緩んでいるのがわかる。
まさか俺がここまで表情豊かな男であったとは自分でも驚きだ。
目の前の男は、褐色の肌に銀色の髪を持ち。額からは二本の角が生えている。
その姿は、かつて剣を交えた魔王その人であった。
しかし、逃亡生活の疲れのせいか大分やつれてしまっている。
哀れには思わんぞ、今度こそトドメを刺してくれる。
俺はゆっくりと剣の鞘に手をかける。
「剣を離して」
遊び人が声をかけてきた。
珍しく声が震えている、きっと彼女も緊張しているのだろう。
……なんだって?遊び人は何と言った。
『剣を離して』だと?
「マスター、貴方もよ」
マスター……?目の前の男、魔王が『マスター』。すなわち『ご主人』であると言うのか?
ならば、彼女の正体は……魔物!?
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