122: ◆CItYBDS.l2[saga]
2019/02/19(火) 20:01:21.79 ID:YlZ38RDP0
大男が唸りながら宿帳をとりだした。
「うーん、実は今晩来る予定だった御者がまだ来ていないんだ。日を跨いでも、そいつが来なかったら一部屋空くかな」
「じゃあ、部屋が空いたら教えてくれそうしてくれ。だめなら諦める」
遊び人のほうを振り返ると、何がそんなに気に食わないのか彼女の眉間にしわが幾重にも寄っていた。
路銀を節約するのも大事だが、時には俺に一人になる時間をくれたっていいじゃないか。
それに路銀のことを言うなら、千鳥足テレポートを使わない日は休肝日にでもすればいいじゃないか。
魔王を探し出すための必要経費と言うならともかく、君は普段から酒を飲みすぎている。
とは口を避けても言わない、いや言えない俺がいる。
酒が、俺の不眠症への特効薬となっているということもあるが、なにより彼女と酒を酌み交わす時間がとても好きだからだ。
その楽しいひと時を失うことは是が非でも避けたい。
「ひとまず、荷物を部屋に置こう。それから夕食にしようじゃないか」
「だったら、私の荷物も置いてきてよ」
どこか険のある言い方だった。
296Res/317.15 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20